訪日362万人で3月過去最高、中東情勢による燃油高騰の影響は注視 観光庁村田長官会見

燃油高騰、訪日への影響は「見通し困難」

 一方で、今後の懸念材料として浮上しているのが燃油価格の高騰。中東情勢を背景に航空会社による燃油サーチャージ引き上げの動きが報じられているが、長官は「現時点でどの程度の影響が生じてくるかを見通すことは困難」と慎重な見解を示した。

 そのうえで、「コストが多少上がっても、本当に行きたいという気持ちになっていただける魅力の発信が重要」と述べ、価格上昇リスクを前提にしつつも、需要喚起策の強化が重要との認識を示した。観光庁としては、外部環境に左右されにくい市場構造の構築に向け、戦略的なプロモーションを継続する方針だ。

日米観光交流キャンペーン始動

 会見では、3月17日に発表された「日米観光交流促進キャンペーン2026」に関して、米国商務省との共同ビデオメッセージの制作・公開を明らかにし、今後は旅行商品の造成やイベントを通じて交流を促進する考えを示した。米国ではワールドカップや建国250周年、日本では横浜グリーンEXPOなど大型イベントが予定されており、これらを契機に相互送客の拡大を目指す。

2030年6000万人へ、官民一体で推進

 さらに、3月に閣議決定された第5次観光立国推進基本計画についても言及した。同計画は2026年度から5カ年を対象とし、観光を「地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業」と位置付けた点が特徴である。

 長官は「数だけを追い求めるのではなく、質的なところを重視した」と述べ、訪日客数の拡大に加え、リピーター比率の向上や地方宿泊の増加、消費額拡大などを重視する方針を示した。

 計画の柱は、インバウンド誘客と住民生活の質の両立、国内およびアウトバウンドの拡大、観光産業の強靭化の3点で構成される。特にオーバーツーリズム対策の強化や、観光産業の人材・労働環境の改善を含む「働いてよし」の視点が新たに盛り込まれた点が特徴だ。

 政府は2030年に訪日客6000万人、消費額15兆円の達成を掲げており、長官は「政府一丸となりまして、また官民一体となって取り組んでいく」と述べ、今後の戦略的な市場対応に強い意欲を示した。