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豪NSW州郊外の美しい町「オレンジ」、ワインなど知られざる魅力紹介-世界遺産ブルーマウンテンズ最新情報も

  • 2022年6月2日

「冷涼気候」武器にワイン生産、ワイナリーごとの個性も様々

 オレンジは、フランスのシャンパーニュやシャブリ、ニュージーランドのマールボロなどと同じ「冷涼気候」の地域に分類され、シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種が主流。各セラードアでは10豪ドルから30豪ドル程度でテイスティングプログラムが組まれている。

オレンジのワインバーのマスター。オレンジの「クール(な気候)」について熱く語る

 今回訪れたセラードアはPrinthie WinesColmar Estate WineryNashdale Lane WineryHeifer Stationの4軒。

Heifer Stationのセラードア

 このうち最も特徴的だったのはPrinthieで、オーナーの名前を冠したスパークリングワインの「Swift」シリーズがフラッグシップ。テイスティングもスパークリングばかり出てくるのは初めての経験だったが、だからこそ違いを感じやすく面白い。ワイナリーとして著名ワイン評論家ジェームス・ハリデー氏から5ツ星を得ているなど受賞歴も多く、そのスパークリングワインは同国でもベストの一つと評されているという。

Printhieでいただいたランチが4泊5日の日程中で最も満足度の高い食事だったことも特筆したい点で、国籍の異なる同行者3名も同意していた。(ちなみに次点はブルーマウンテンズのブラックヒースで昨年末に改装を終え開業したKyah Boutique HotelのBlaq Restaurant)

 続くColmar Estateは2013年に現オーナーが立ち上げたワイナリーで、隣接するぶどう畑で育てた同じ品種でも畑を分けて醸造するなど様々な取り組みをしており、これまた同時に比べられるのが楽しい。筆者を含め同行者のほぼ全員がボトルを購入していたことからして、値段と味のバランスが最も良かった1軒と言って良さそうだ。

Colmar Estateのワイン畑とカンガルー。冬には雪景色のなかでカンガルーに出会えることもあるという

 Nashdale Laneについては、テイスティング中に別の大型団体が入ってきてしまったため話を聞けず紹介できることが限られるのが残念だが、写真の通り団体用に用意されていたプレートの盛り付けの美しさは目を見張るものがあった。

Nashdale Laneの団体用軽食プレート

 そしてHeifer Stationの特徴は、敷地内でポニー、アルパカ、豚、ヤギ、アヒルなどが飼育されている点。コアラやカンガルーなどオーストラリアならではの動物ではないものの、フレンドリーな動物との触れ合いは確実に心に残るし、ぶどう畑のなかでのピクニックも楽しめた。

ほかには毛がふさふさと長く「かっこかわいい」外観で日本のネット上でも一部で人気あるハイランド牛の姿も

 もちろんNashdale LaneもHeifer Stationも、筆者はワインの専門知識がないので適切な表現ができないが、酒好きであれこれ飲んでいる身からしてプレミアムワインの名に恥じない味わいと感じたことは間違いない。ちなみにテイスティングについては、ハムやサラミ、チーズ、ジャムなどが少しだけ添えられるだけでも相性や特性の違いをはっきり感じられ、段違いにイメージが膨らんでいくので工夫の余地がありそうと感じられた。

世界的にも大流行しているジンの蒸留所Parrot Gin Distilleryもあり、固有のボタニカルを使用したオーストラリアならではの商品もテイスティング可能

なお、オレンジでワイナリー巡りのツアーを提供している業者は何社かあるらしいが、今回はUncork Orange ToursVine Venture Toursが担当してくれた。特にUncork Orange ToursオーナーのLynette Rae氏のホスピタリティは個人的に過去一番で、旅行会社にとっても頼りになるのではないかと思う。