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豪NSW州郊外の美しい町「オレンジ」、ワインなど知られざる魅力紹介-世界遺産ブルーマウンテンズ最新情報も

  • 2022年6月2日

 コロナ後は大自然や屋外アクティビティ、「密」を避けられる郊外への旅行が人気に、というのが世界の旅行観光産業内での共通認識となっているが、このほど視察旅行で訪れたオーストラリアの「ニュー・サウス・ウェールズ州オレンジ地区」はまさにそのトレンドに最適なデスティネーションだった。美しい街並みや冷涼な気候と広大な土地で生み出されるワイン、入植者による開拓期の面影など多彩な表情を持つオレンジと周辺の魅力を、同じくシドニー郊外であるブルーマウンテンズの最新情報と合わせてお伝えする。

訪れた時期は紅葉まっさかり。梅雨に向かう東京と暑さの残るシドニーとは別世界の、ひんやりとした空気に感動

オレンジがとれないオレンジとは?実はプレミアムワインの産地として急成長

 オレンジは日本市場ではほぼ未開拓の場所で、Googleで検索しても日本語の情報がほとんど出てこないほどだ。

 まずオレンジがどこにあるかというと、シドニーから西北西に210km程度で、その途中にブルーマウンテンズ国立公園が広がるという位置関係だ。シドニー空港からオレンジ空港まで30分前後で移動できるほか、車でも3~4時間の距離だ。

今回は往路がリージョナル・エクスプレス航空(Rex)利用、復路がブルーマウンテンズ経由の陸路となった

 町なかには可愛らしい家が立ち並び、のんびりした雰囲気で大都会シドニーとの差に驚く。また到着直後のカラッとした秋らしい冷たい空気と晴れた空に鮮烈な紅葉のコントラストが印象的で、米国からの参加者も空気が「crisp」だと感嘆していた。

オレンジで宿泊したのはThe Byng Street Boutique Hotel。22室の美しくデザインされたホテルで客室によってバスタブも備える。国や州のツーリズムアワード受賞歴も多数で朝食も美味

 そしてオレンジと聞けば当然柑橘類を想像するが、その名前はオランダ国王オレンジ公ウィリアムにちなんだもので、実際にはオレンジは収穫できないとのこと。高度が900mから1000mほどあるため冷涼な気候が特徴で、リンゴやチェリー、アプリコット、桃などが多く栽培されるほか、牛や羊の飼育も盛ん。そして何よりも、気候を生かして生産されるワインが重要な特産品となっている。

オーストラリアの大きさを感じる1枚。「密」の心配は不要だ

 オレンジでワイン用のぶどうが栽培されるようになったのは1980年代と比較的歴史が浅いものの、現在はぶどう園が60超、セラードア(試飲直売所)も40を数え、オーストラリアでもトップのプレミアムワイン産地の仲間入りを果たしているという。

セラードアのテイスティング会場もそれぞれ個性が光る(写真はPrinthie)