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旅行業界の人材育成について大切なことは?-RT Collection 柴田真人氏

 第6回目のコラムは「旅行業界の人材育成」について書いてみたいと思います。

 2021年度が4月から始まりましたが、4月、5月は旅行会社で働いている私の知人の退職が非常に多くありました。以前も退職の連絡を頂くことはありましたが、今年の4月以降は第一線でご活躍されていた企画担当者や仕入担当者の退職が多かったです。コロナ禍における旅行業界からの人材流出によりアフターコロナの人材は足りるのかという記事をよく見かけますが、旅行業界の需要は遅かれ早かれ戻ったとしても、旅行会社側の人材が足りなくなる可能性は非常に高いです。

 そのため、人材不足に直面する旅行会社が、そして今現在も旅行業界に残っている人たちが、今後どのように人材育成をしていくのかは非常に重要になってきます。

 そこで、皆さんの旅行会社では新入社員に対して、若手社員に対して、そして中間管理職に対してどのような人材育成を行っていますでしょうか?

 例えば、入社後の新入社員研修では約款や旅行商品の販売の基礎知識、2レターや3レター、航空券の仕組みを覚えるための座学や社会人としてのマインドセットやビジネスマナーを学ぶワークショップを行う研修が多いです。あるいは、中小旅行会社であれば、2~3日の研修のみで配属部署に送り出すなんてこともあるのではないでしょうか。また、外部研修機関に委託して、マネージャー研修や管理職研修を受けさせる中間管理職向けの研修なども多いのではないでしょうか。これらに共通することは受け身の研修であるということです。

 一方で旅行や観光の本質を主体的に学べる人材育成を旅行会社自体が社員に対して行っているのかというと、私の周りではそういった人材育成を行っている旅行会社は聞いたことがありません。

 例えば、オーバーツーリズムの観光地を訪問して旅行会社としてできることを考えるケーススタディをしてみるとか、旅行は人生の分岐点にもなるイベントで人の価値観にも影響することから、自分の価値観を再認識して同じような価値観や理念を持っている観光事業者をリサーチして旅行商品を考えてみるワークショップをしてみるとか、そんな人材育成や研修があっても良いのではと個人的には思っています。こういった内容のものは固定概念が少ない新入社員や若手社員に対して特に行いたいものです。

 中間管理職にもなると経験からの固定概念が強いため、それを一度壊すような研修が効果的です。前回のコラムでも少し触れましたが、旅行業界の人は旅行業界内のリソースで物事をいつも考えがちです。それはコンフォートゾーンから抜け出せていない状態とも言えます。一番効果的なものは異業種を学ばせるというものです。例えば、異業種のサステナブルな取り組みを実際に見学して、それをどのように旅行と掛け合わせてビジネスプランを作れるのかを考えて発表し合うようなワークショップです。その際、相手を否定せずに肯定的なアドバイスをしていくことで実際に内容がブラッシュアップされ、事業化に繋がっていく可能性もあります。

 このように旅行会社は人材育成に関して、時代に合った内容や方法で取り組んでいかなければ、今後の旅行商品自体の変化も生まれてこないでしょう。

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