日本の旅行者、直近コンテンツが予約を後押し “本物らしさ”が鍵に エクスペディア調査
 
エクスペディア・グループは10月29日、旅行コンテンツが意思決定に与える影響を分析した「Science of Wanderlust」を公表した。動画の効果と"本物らしさ"の重要性、AI活用における人の関与の必要性など、予約行動を後押しする実務的示唆が明らかになった。
グローバル調査では、旅行者の71%が動画が意思決定に影響したと回答し、静止画の24%を大きく上回った。特に長尺動画は感情反応を喚起しやすいとされた。信頼につながるトーンとしては透明性、明確さと自信、本物らしさが上位に挙がり、ユーザー生成コンテンツの寄与も示された。
映像編集では2〜9秒のシーンが理解度を高める最適レンジとされ、2秒未満の高速カットは理解を阻害する可能性が指摘された。また、冒頭・中盤・締めくくりが明確な物語構成が関心を高める要素と位置づけられた。
AI生成コンテンツは「有用だが人の関与が必要」との認識が41%で多数派を占める一方、「有用なら作成方法は問わない」との柔軟層も16%存在する結果となった。
日本市場では、情報源としてオンライン旅行サイトと動画の影響力が高く、直近6か月以内に見たコンテンツが予約のきっかけになった割合は62%と他国平均を上回った。本物らしさへの期待も強く、誠実なメッセージがブランド信頼につながるとの見方が半数を占めた。
意思決定に寄与するフォーマットはスポンサー記事やガイドブック、静止画など幅広く、旅行関連サイトや新聞・書籍の影響力も他国平均を上回るとされた。自然景観や郷土料理、歴史的建造物を扱うコンテンツは動機形成に有効で、リラックス感や信頼感など感情訴求の評価も高い。
グローバルでのAI広告の認知は二極化し、64%が「AI生成と思われる広告を見たことがある」と回答する一方、認知がない層や内容重視の柔軟層も一定数存在した。お得提案や個別最適化への期待が示される一方で、完全AI生成の人物・風景には違和感を覚える声も報告された。
旅行スタイル別にみると、都市型は長尺動画と食コンテンツへの関心が強く、文化体験派は意外性とオンライン旅行サイト活用、ラグジュアリー派はAIやインフルエンサーへの抵抗が低いなど、嗜好の差異が明確になった。
本調査は2025年7月のテストと、同年8月に7か国計7000人を対象に実施した共同調査を基に取りまとめられた。