法律豆知識(111)、航空私法入門(その2)
<旅客の死傷事故> 今回は前回に引き続き、モントリオール条約の内容を検討していく。モントリオール条約の改正で最も注目すべき項目は、旅客の死傷事故の補償関係であろう。補償金額のうち、運送人(航空会社)は、10万SDRの部分までは「厳格責任(strict liability)」を負い、これを越える部分については、限度額を設けていない。さらに、過失推定責任を負うものとしている。ワルソー条約では、運送人が無過失の証明をしない限り、運送人の過失は推定されるという意味で、過失推定主義が採用されていた。し...