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ガストロノミーツーリズムと日本が誇るONSENの魅力を融合-ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構 本橋春彦氏

温泉を介した文化交流、相互送客にも期待

-イベントを旅行会社が企画することもありますか。

本橋 機構が支援するイベントは、あくまでも実行委員会形式により地元が主体となって開催します。ONSEN・ガストロノミーウォーキングの場合、たとえば全長8kmのウォーキングコースで途中、1.5km毎にガストロノミー・ポイントを設け、各ポイントで地元の食材や料理法を使ったメニューを1つずつ味わい、ウォーキング全体を通して地域の食文化をフルコースで楽しむといった仕掛けになっており、ウォーキングとガストロノミーを楽しんだ最後に温泉でのんびりする、といった体験になります。

-ANA総研が事務局として中心的役割を果たしていますが、その狙いは何でしょう。

本橋 全国の地域おこしを支援していくことはANAグループの社会貢献活動の一環でもあります。この事業で収益を期待するといった発想はありません。地元が主催するONSEN・ガストロノミーウォーキング等の情報発信をANAグループのウェブサイトを通じて告知したり、集客を支援したりしています。これまで開催してきたイベントは、1、2年目は集客に苦戦したイベントもありましたが、イベントが徐々に浸透し、このところは満員御礼が続いています。

 地域活性化に取り組む地元の皆さんに話を聞くと、イベント開催そのものだけではない部分にも感謝されます。イベントを主催するには地域の多くのステークホルダーが関わります。自治体や警察、保健所など役所関係や、宿泊施設、飲食店、観光関連事業者、メディアなどが一堂に会して協議します。そうした機会は意外に少ないとのことで、話し合いがすんなりまとまらない場合であっても、それぞれの立場からの意見を交わすことで相互理解が図れるメリットがあるといいます。その意味でONSEN・ガストロノミーは、地域の人々と地域外の人々をつなげるだけでなく、地域内の人同士をより強く結び付ける力があるのだと気づきました。

-トラベルビジョンの読者にメッセージをお願いいたします。

本橋 先ほど申し上げたことと重なりますが、やはり人の力の大きさを改めて認識しましょうということに尽きます。特に観光においては人の力、人によるおもてなしの力が極めて重要です。日本の各地域で人口減少など厳しい状況がありますが、魅力的な人たちがいる場所なら人は必ず集まります。自分の会社など狭い範囲だけの視点で考えるのではなく、広いつながりを育てて地域を盛り上げていけば、お客様としての消費者は必ずそれを感じ取ってくれるはずです。

-ありがとうございました。