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大分県北部地域の観光プラットフォームとしての役割を確立ー豊の国千年ロマン観光圏事務局長堤栄一郎氏

  • 2021年4月21日

地域一帯となった観光を推進
欧米豪に加えて台湾などもターゲットに

-将来的に豊の国千年ロマン観光圏を拡大していく考えをお持ちですか。

 豊の国千年ロマン観光圏のエリアを拡大していくことは考えていませんが、広域連携DMOの九州観光推進機構や九州内のDMOとの連携は必要と考えています。特に欧米豪などへの発信については、13の観光圏が連携しながら取り組みを進めています。地域連携DMO単独での取り組みでは、限界があると考えています。

-設立から今日までの取り組みのなかでの成果をお聞かせください。

 まず大きな成果としては、この地域の観光プラットフォームとしての役割が確立できたことがあります。それまではこの地域の相談窓口さえなかった。地域全体の窓口ができたのは大きいと思います。また、コンテンツづくりでも、地域を超えて取りまとめる組織がありませんでしたが、今ではコーディネート、コンテンツの紹介、ガイドや交通、宿泊の手配などが一括してできる役割が確立されたのも大きな成果だと思っています。

 それが確立されたことで、旅行会社と連携した滞在交流型ツアーの販売も可能になりました。現在はコロナ禍でインバウンドは止まっていますが、コロナ収束後に、お客様を安心して迎えられるように受け入れ体制を継続して整えていく必要があると考えています。

-インバウンド需要が消滅している現状で、日本人の国内旅行への取り組みはいかがですか。

 昨年度は、新しい生活様式に対応したさまざまな日本人旅行者向けコンテンツができました。自転車を活用したアクティビティとして、標高500メートルの十文字原展望台に自転車を運んで、そこからダウンヒルを楽しんでもらう企画を、地元の方々のアイデアで商品化できました。

 また、別府市にある「温泉染研究所」のユキハシ・トモヒコさんが開発した「温泉染キット」を使ったオンライン体験「おうちで温泉染め体験 柿渋×湯の花」を昨年3回実施しました。これをきっかけに、リアルの体験会への問い合わせが増え、地元大学とコラボした体験会を開催したり、留学生を対象とした体験会を開催したり、温泉染の認知向上につながりました。

-国内旅行の傾向はいかがでしょうか。

 2020年度1年間の国内旅行市場では、マイクロツーリズムの傾向が強く出ており、来訪者全体の約7割が九州域内からの来訪になっています。以前は5割ほどでしたので、かなり増えています。一方で、どうしても日帰りが多くなってしまうため、現地消費額が落ちています。レンタカーの利用も減っており、レンタカー比率は2019年度の16.6%から昨年度は4.1%にまで減少し、逆に自家用車の比率は64.6%から77%にまで上昇しました。

 国内旅行による1人あたりの旅行消費額は、インバウンドと比べると半分程度になる傾向があり、地域経済への影響は非常に大きいと言わざるを得ません。