意欲の高い外国人人材の受け入れを支援、観光需要のV字回復に備える―人材派遣のアステージ代表 酒井尚志氏

  • 2021年4月15日

日本語学校とインターンシップにも注力
宿泊業での外国人特定技能の広がりに期待

-アステージは、インターンシップ支援に加えて、日本語学校を開校しました。この意図についてお聞かせください。
ふじやま国際学院

酒井 2019年4月に富士河口湖に日本語学校の「ふじやま国際学院」を開校しました。それ以前は、インドネシアで日本語を勉強した学生に、日本の日本語学校を紹介していましたが、基本的に日本の日本語学校は大学や専門学校への進学のための学校で、コミュニケーション力を磨いて、日本で就職したいと考えているインドネシア人には不向きでした。アステージとしては、日本のサービス業で就職するための日本語を身につけてもらいたいという考えから設立に至りました。

 現在はコロナの影響で学生数が少ない状況で、苦戦しています。それでも、他の日本語学校と比べてもユニークだと思っています。現在は今年10月入学の学生を募集していますが、コロナが収束したら留学したいという問い合わせを多くいただいています。日本の観光産業に興味を持っている人は引き続き多いと感じています。

 今後は、インドネシアからだけではなく、さまざまな国からの学生を受け入れる計画です。

-2019年4月に特定技能の在留資格に宿泊業が追加されました。この法改正による変化はあるでしょうか。

酒井 特定技能という制度によって、必ずしも大学を卒業しなくても日本で働けるため、海外でも非常に注目されていますし、実際に特定技能で宿泊業で働きたいという問い合わせを多くいただいています。

 技能試験と日本語能力試験に合格すれば日本で働く資格を得られるわけですが、海外での宿泊業の技能試験については、昨年始まったばかりのため、まだ合格者は多くはありません。また、技能試験と日本語試験に合格した人も、このコロナ禍で来日できていない状況が続いています。

 一方、受け入れ側も特定技能者を受け入れるにあたってさまざまな管理業務があり、事務的負担が増えるのも事実です。それを外部委託するとなると、日本人を採用する以上に費用がかかってしまう面があるため、今後どれだけ増えるのか不透明なところがあります。

-コロナの影響はいかかでしょうか。

酒井 観光産業への人材派遣サービス、インターンシップ、日本語学校の3本柱で事業を展開していますが、すべてで大きな影響を受けています。

 人材については、一度離職してしまうと、戻りが難しくなります。また、宿泊業では高齢化という課題もあります。アステージとしては、観光需要のV字回復に向けて、人材面でご協力ができる体制を今から準備しているところです。海外での日本の人気は引き続き高いので、コロナ収束後のインバウンドはまた増えていくと思っています。

 インターンシップと日本語学校については、日本で学びたいと思っている人は多いですが、コロナによって現地の経済状況も悪化しているため、留学する経済的な余裕がある人が減るのではないかと心配しています。

 現状では、将来に向けてSNSや動画を使って情報発信に力を入れているところです。また、短期間のお試し留学を希望する声も多いことから、短期語学研修プログラムの提供も検討しています。

-ありがとうございました。