itt TOKYO2024

「銀行はこう使え!」-メガバンク元営業担当が本気のアドバイス vol.5

銀行審査の裏側
融資の可否を分ける5大要素とは

ポイントは換価性や価値を検証できるかどうか

 運転資金融資とは、この商売の流れで生まれる立替金の支援であり、「商品」であれば何をいくらでどのくらいの量かなど、「売掛金」であれば相手先の信用力など、その換価性や価値を検証できるものが見合いとなっています。預金者のお金を貸し出す以上、決算書や試算表においてしっかりと返済可能であることを示せないものに対して融資はできないのです。

 当然B/SとP/Lは密接な関係がありますが、P/Lにおける費用が見合うものは、B/Sにおける「資産の減少」か「負債の増加」であり、将来の返済原資となり得るものではないのです。「テレビを1,000万円分仕入販売するから​お金を借りたい」と「追加で3人雇用するから1,000万円お金を借りたい」、皆さんが貸出すとして、どちらの方が確実に返ってくると感じますか?​


 今回は銀行の融資案件審査のロジックをお話しました。金融機関によって多少ロジックは違いますが、融資検討の5大要素や運転資金のベースの考え方はそれほど違わないはずです。前提の知識がないと銀行と会話が嚙み合わないばかりか、まともに取り合ってもらえないことすらあり得ます。過去の実績(決算書)と将来の確実性で判断されますから、リスクの高い資金や自由度の高い資金が必要なのであれば、純資産での調達など別の方法を考える必要があるでしょう。

 小難しい内容となりましたが、多少なりとも銀行取引を円滑に進める一助となれば幸いです。次回は番外編としてもう少し融資案件の考え方の裏側をご紹介したいと思います。