インタビュー:ジャパネットホールディングス執行役員の茨木智設氏

-貴社ならではの独自性をどのように打ち出しますか

茨木 独自のイベントとして、船内でジャパネットが取り扱う商品のオークションを開催することを検討している。また、我々のターゲットは初心者なので客船内の見学ツアーも実施したい。専用のツアーデスクやラウンジの設置も検討しているほか、お客様への細かいサービスについても、ジャパネットならではの工夫を凝らせるよう、検討を進めている。

 我々は旅行会社出身者ばかりではないので、お客様の目線に近い視点でお客様の不満を解消し、商品に反映させていきたい。例えば、一般的なクルーズ旅行商品は取消料が高い。ダイヤモンド・プリンセスのツアーを販売した時には1ヶ月半くらい前までは新しい予約が入り続けていたので、1か月半くらいまでは取消料があまり多くなくても大丈夫だと考えている。

 このため、取消料は旅行出発日の前日から起算して119日前から収受する会社が多いが、我々は89日前からとした。さらに、59日前から旅行代金の50%を、30日前からは全額を収受する旅行会社が多いなか、我々は59日から29日前までは30%、28日から15日前は70%、14日前以降は全額と、ぎりぎりまで取消料がかからないようにした。


-商品の販売方法を教えてください

茨木 テレビショッピング番組とウェブサイトで販売するほか、年間で計3400万部を発行している会員誌の一部や新聞広告なども今後展開する予定だ。クルーズは説明型の商品で、値段もそれなりにするため、テレビショッピング番組では通常は1商品あたり6分から10分程度しか時間を割かないが、基本的に30分を割く考えだ。

 我々は販売する商品については、事前に自ら使用してみる。お客様は「ジャパネットがおすすめする商品」を信頼して買っているので、お客様の期待を裏切らないよう、商品の品質をしっかり確認している。クルーズについても、商品紹介者に実際にクルーズを体験してもらい、テレビショッピング番組では客船内を紹介する映像を放映した。

 テレビショッピング番組の場合、商品が紹介されるとすぐに電話がくる。クルーズ旅行への興味が0%だった人が、番組後に急に100%になった状態で電話をするため、その後のキャンセルは当然発生する。キャンセルを防ぎ、旅行までの「ワクワク感」を維持するため、ダイヤモンド・プリンセスを販売した際には月に1度、ノベルティなどをお客様にお送りした。今回は寄港地の自治体と連携して情報提供を継続的におこなうほか、寄港地のガイドブックの作成を検討している。

 第1弾の旅行商品は、7月14日の金曜日の朝に放送するテレビ東京「7スタライブ」内のコーナー「快適!ショッピングスタジオ」で販売した。9泊10日と長めのツアーであることから、会社員が多く見る休日ではなく、平日に紹介した。お客様からはかなり良い反応をいただいており、電話もつながりにくくなった。今後は会員誌などで販売を継続するほか、時期をずらして番組で紹介したい。

 利益については、初めのうちはマイナスにならなければよいと思っている。まずはお客様に満足してもらい、ジャパネットのファンを増やすことでリピーターになってもらうことが重要だ。将来的にはチャーターなどで利益率を高めていければよりよいと思う。