HIS、10年中間期は減収減益も通期は増収へ−夏の予約好調、単価上昇見込み

  • 2010年6月15日
 エイチ・アイ・エス(HIS)の2010年10月期第2四半期(2009年11月1日〜2010年4月30日)の連結業績で、売上高は前年比7.3%減の1541億5100万円となった。近距離方面への需要集中や燃油サーチャージの大幅減額、競合他社との価格競争などの影響を受けた。オンラインやモバイルを重視し、効率的な営業展開を進めたものの売上総利益を補うまでに至らず、本業の儲けをあらわす営業利益は約半減となる42.6%減の23億6200万円となった。また、経常利益は、為替差損が8億4000万円発生したため、46.0%減の19億9400万円となった。当期純利益は20.9%減の18億5700万円。なお、同期間の取扱人数は、前年並みとなる0.6%増の138万人となった。

 同社代表取締役社長の平林朗氏は、6月14日に開催した決算会見で、上半期を振り返って「非常に厳しかった」と言及。2月の春節期間にアジアからのインバウンド需要が高まったことで得意とする安・近・短方面で間際の座席が少なくなり、日本航空(JL)の経営破たんもあって仕入れ環境が厳しくなったと説明。5月末には通期予想を下方修正しているが、「当初見越していたよりも法人需要や先行きの景況感が良く、夏の予約も好調に推移している」と述べる。10月末には羽田空港の発着枠拡大により航空座席の供給量が増えると予想されることから、「需給バランスが逆転するのでは」との見解を示し、今後さらなる需要の取り込みに意欲を示した。

 また、ブランド戦略について平林氏は、「販売チャネルの多様化を進める」と話し、「オンライン、店舗、富裕層、学生というターゲット別にしっかりとした事業計画をつくり満足してもらえる旅行を提供していく」考えを示した。すでに、HISのプレミアムチャオにかわるブランド「QUALITA(クオリタ)」や、若年層向けの「Love Peace TRAVEL(ラブピーストラベル)」を立ち上げており、「すぐに数字に寄与することはないと思うが新たな取り組みとして進めたい」と述べた。このほか、法人、団体、モバイル事業に加えて海外出店も引き続き強化するとし、関連会社のハウステンボスによるインバウンドや国内旅行需要の取り込みにも中長期的に期待を示した。


▽夏の客単価は2割から3割増しへ、行き過ぎた廉価商品から脱却

 平林氏は、今後3ヶ月間の客単価推移について、「2割から3割くらいは上がるだろう」と予想。2009年は、4月末に発生した新型インフルエンザでイン/アウト双方の需要が落ち込んだことや、円高傾向などで6、7月の価格が乱れていたとし、「去年の行き過ぎた廉価から単価があがってきている」という。このほか、燃油サーチャージ額の復活なども影響しているようだ。

 一方、7月の中国個人観光ビザ要件の緩和によりインバウンドが拡大することで、10月の国慶節などの座席確保について懸念を表明。仕入れ時期のタイミングなど市場動向を見極めながら準備する構えだ。