センチュリークルーズ、久野健吾氏が日本法人CEOに就任 日本市場強化の戦略を聞く
彭 日本市場では、富裕層・シニア層を中核に、企業インセンティブや団体、さらにクルーズ未経験層までを幅広くターゲットとしている。販売は旅行会社を中心としたB2Bモデルを基本とし、シリーズ商品やチャーターなどを通じて安定的な送客体制を構築する。旅行会社とはパートナーとして連携し、商品造成や販売支援を強化していく。
久野 まずはB2Bに注力し、旅行会社向けの営業を徹底する。これまで日本語サイトやパンフレットについては改善の余地があり、販売面での活用をさらに高めていく必要があったため、これらを全面的に刷新する。また、セミナーや説明会、FAMトリップを通じて現場の理解を深め、販売力の底上げを図る。
彭 長江は自然景観と歴史文化を兼ね備えたデスティネーションであり、三国志などの文化的価値を体験できる点が大きな魅力。単なる観光ではなく、文化体験型の商品となる。
久野 船内のハード面も競争力がある。スタンダード客室でも約25平米と広く、食事やサービスの質も高い。中国国内には多数の競合が存在するが、その中でもラグジュアリーカテゴリーに位置付けられる水準にある。また、日本から5〜6時間のフライトでアクセスでき、3泊4日から体験可能という手軽さも特徴。価格帯も1泊あたり数万円程度と、ラグジュアリーとしては比較的手が届きやすい設定となっている。
彭 商品、送客メカニズム、プロモーションの3領域を一体で強化し、日本市場における長江クルーズの拡大を図る。商品面では、日本人の嗜好に合わせた高品質かつ販売しやすい設計を進め、三国志の舞台でもある長江三峡の歴史文化や自然の魅力を、ラグジュアリーな体験として訴求する。単なる観光にとどまらず、「歴史・文化・自然・上質なサービス」を融合した体験型商品として新たな価値を提案していく。送客においては旅行会社との連携を軸に、シリーズ商品やチャーターなどを通じて安定的な販売基盤を構築し、市場拡大につなげていくつもりだ。
久野 日本市場ではこれまでPR活動が限定的だったため、施策は多岐にわたる。SNS運用やインフルエンサー活用、業界向けセミナー、トレードショー出展などを積極的に実施する。さらに業界団体への加入を進め、ネットワーク構築と信頼性向上を図る。FAMトリップも年2回程度実施し、旅行会社の体験機会を増やすことで販売促進につなげていく。
彭 訪中旅行には地政学的リスクや心理的ハードルが存在するが、需要そのものは消失していない。現在は慎重な選択へと変化している段階で、安心・安全に関する情報発信を強化し、信頼を醸成していく。また、長江に加え、ヨーロッパやエジプトといったグローバル展開との連動を通じてブランド全体の魅力と信頼性を高め、日本市場の段階的な回復と中長期的な成長につなげていく方針だ。
久野 かつては日本から長江クルーズへの送客が非常に多かった時期もあり、市場ポテンシャルは大きいと見ている。現在はコロナを経て一度リセットされた状態だが、文化的関心や体験価値を軸に再び需要を喚起できる余地がある。
彭 日本市場の回復は段階的なプロセスになるが、中長期的には非常に大きな成長ポテンシャルを有している。継続的な投資とパートナーシップを通じて、着実に市場を育てていく。
久野 日本市場ではまず基盤整備を進め、旅行会社との連携を強化しながら段階的に拡大していく。その上でブランド認知と信頼を積み上げ、最終的には唯一無二の存在として確立したい。日本の旅行業界に対しても、長期的に価値を提供できる存在を目指していく。
