観光業の最大課題は「働き手不足」48.6% JRCが2025年調査を公表
リクルートのじゃらんリサーチセンター(JRC)は、観光業従事者1645人の意識をまとめた「観光業界課題調査2025」を公表した。調査は2025年7月29日〜9月2日に実施された。
最大課題は「観光現場の働き手不足」48.6%で、観光地の受入環境整備(二次交通・インフラ等)が47.3%、観光マネジメントの人材不足(専門・高度人材)が41.3%と高い比率を示し、現場の人的リソースの量と質の両面がボトルネックである実態が浮き彫りとなった。
人手不足の背景では、賃金・労働条件に加え、専門スキル人材の採用や育成体制の弱さが指摘された。JRCは対策として、観光協会やDMO主導での基礎スキル研修の標準化、キャリアパスの明示、ガイドやMICE、サステナブルなど成長分野の専門研修・認定制度の整備を提案している。
即効性のある人材確保ではシニア活用が有望とし、滋賀県守山市の実証では約2000枚のチラシ配布で6名が応募し、「社会貢献」や「プロジェクトメンバー」といった呼びかけが奏功したと報告した。中長期では若手獲得・定着を目的に、奈良県ビジターズビューローが進める「観光人材留学」で繁閑が異なる地域間の相互出向を実証し、サービスレベル向上や経験値の蓄積、福利厚生的効果が確認されたという。
経営人材の育成では、JRCの「次世代旅館・ホテル経営者育成プログラム」が2012年開始以来、全国で170名超を育成。黒川温泉では残業時間約40%削減と収益性改善、熱海温泉では2019年度比165%の売上達成と新館開業へつながった事例が示された。
地域ぐるみの定着策としては、栃木県那須町の「那須ワークコミュニティ」が働く人向けに割引・特典を提供し、2025年10月1日時点で64施設・会員523名に拡大した。地域とのつながりや働きがいの向上につながる新モデルとして普及が期待される。