失敗しないシニア活用方法とは?観光業界が気をつけるべきポイント5選-シニアジョブ中島康恵氏
観光業界に限らず、シニアの人材紹介や求人掲載の提案に、「今、在籍しているシニアすら持て余しているので無理」と返答する企業は少なくありません。シニアにポストを空けてもらい、若手を採用して組織の新陳代謝を図りたいという企業の思惑が、こうした言葉に込められているようにも感じますが、在籍中のシニアにも、新たに採用されるシニアにもしっかり活躍してもらえる環境が重要です。
今回は、シニアの活躍・活用についてのアドバイスを、シニアジョブ代表取締役である私、中島康恵がお届けします。※ 第2回目のコラムはこちら。
1. シニアに任せる仕事を切り出す

まず、担当してもらう仕事について、シニアに任せる前提でしっかり再設計すべきことは、前回も述べたとおりです。
シニアに限ったことではありませんが、そもそも任せる仕事内容がはっきりしていなければ、選考してもミスマッチにつながりますし、活躍してもらうためにも何を任せるか決めておく必要があります。例えば、前回も述べたように実務の比重を減らして、OJTなど若手教育中心に仕事を任せることで、コアメンバーが実務に集中できるようになります。
必要に応じて、既存の業務の中からシニアに適した仕事の内容と分量を切り出すことで、シニアがより活躍しやすい環境が作れます。
2.新しいチャレンジを妨げない
今のシニアは以前のシニアイメージとまったく異なり、本当に若々しい方が増えています。もちろん、年齢が上がれば少しずつ体力が落ちていきますが、60代は体力も能力も50代以下と遜色ありません。
そのため、「シニアだからできない」「体力がない」と決めつけず、意欲や能力があるシニアにはどんどん仕事を任せ、チャレンジを推奨しましょう。
任せたい仕事以外へのチャレンジを評価しないばかりか、「余計なことをしないで」と思ってしまう企業も少なくありませんが、業務に影響が出ないのであれば、シニアの新しいチャンレジを止めてはいけません。
常に新しいチャレンジをすることで、若々しさも維持されやすいため、チャレンジを止めてしまうとシニアの意欲が大きく削がれてしまうかもしれません。
3.業務時間をシニア任せにしない
いくらシニアのチャレンジを推奨すると言っても、健康や体力に悪影響のあるような無理は止めましょう。特に健康管理や特に業務時間については、シニアの自己管理に任せるべきではありません。
企業の中には「シニアはブラック慣れしていて真面目」という見方をして、過酷な働かせ方をするところもありますし、シニア自身も「若い人に負けたくない」と無理する場合もありますが、シニアの体力・健康は個人差が大きく、また、健康状態は急変することもあるため、シニア自身が「大丈夫」と言っても、企業側でセーブした勤務時間の管理をするのが安全です。
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