ラテンアメリカで"100年続く日系財閥"を目指す-Encounter Japan西側赳史氏が挑む、食・広告・観光の三軸戦略

  • 2025年4月18日
-どのような訪日商品を展開されていますか?

西側 基本的には富裕層の個人旅行が中心で、例えば建築家グループによる視察旅行や、家族旅行などが多いです。特に建築やアートに関心のある層に向けては、直島や安藤忠雄氏の建築をテーマにしたルートが非常に好評です。和食と同様、メキシコ料理も無形文化遺産に登録されていて、食に対する意識が高い方が多いのも特徴です。開拓途上のエリアについては、提携するDMCを通じた手配も行っています。BtoBとBtoCの両面で動きますが、BtoBにおいては、現在メキシコ、コロンビア、ブラジルの旅行代理店に対してアプローチを行っています。

-訪日旅行の運営体制や課題、目標についてお聞かせください。

西側 現状、旅行部門の専任スタッフは日系ボリビア人の女性で、元旅行代理店勤務の経験者です。彼女が日本との調整を担当し、神戸オフィスのマネージャーが実務も担っています。ただ、今の課題は仕入れと通訳です。特に通訳に関しては、単に言語ができるだけでは務まらないのがラテンアメリカのお客様の特徴です。「通訳者と一緒に楽しく過ごしたい」というニーズが非常に強く、通訳者の“キャラクター”が重視されるんです。知識や語学力に加え、明るく、場を盛り上げる力も求められる。お客様と“旅を共に楽しむ”というスタンスが必要です。だからこそ、今後は通訳人材の発掘・育成も大きなテーマです。特にスペイン語話者で、若くてフットワークの軽い人材が不足しており、事業が伸びるほどに重要性は増してくると感じています。

 グループ全体の年商は現在およそ7〜8億円規模まで成長しており、そのうちの75%が飲食事業、25%が広告やコンサルティング事業の収益です。ここから旅行事業をどこまで伸ばせるかと言うと、未知数ではありますが2026年度に1億~1億5000万円ぐらいの流通額は最低でも目指していきたいと考えています。

-企業としての将来的なビジョンをお聞かせください。

西側 IPOやバイアウトといった「出口戦略」にはあまり関心がありません。私が目指しているのは、ラテンアメリカに100年続く“日系財閥”のような存在になることです。現地の人材と日本人が世代を超えて協働し続けられる企業をつくりたい。自分がいなくなった後も、社会に必要とされ続け、地域に根ざした存在でありたいと考えています。

多国籍なチームの主要メンバーたち。
-最後に、読者へのメッセージをお願いします。

西側 治安や麻薬のイメージが先行していることもあり、敬遠されがちですが、実際に来日される方は高学歴で文化的教養が高く、非常にマナーも良いです。そして、人懐っこく、明るく、純粋に「日本を楽しみたい」と思ってくださる方ばかり。旅行も数週間単位で滞在され、高単価での消費が期待できる層です。ラテンアメリカの最大の魅力は“人”そのもの。日本の旅行業界にとって、もっと注目すべき“ブルーオーシャン”だと思います。私たちEncounter Japanは、そんな素晴らしい方々と日本をつなぐ存在として、100年続く企業を目指していきたいと考えています。そして、事業パートナーとしても従業員としても興味があればぜひ当社の門を叩いていただけると嬉しいです。