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HIS澤田会長「観光産業は人類にとって素晴らしい産業」海外旅行の完全復活はあと2、3年-新春インタビュー

  • 2023年1月10日

これからの旅行会社は、差別化ができないと生き残るのは困難
旅行業全体が夢の持てる業界であれば、若い経営者が出てくる

-旅行会社の価値とはどのような点にあると思われますか。またアフターコロナで生き残るのはどのような旅行会社でしょうか。

澤田 デジタル技術が発達している中で、ホテルにしろフライトにしろ、消費者が直接予約できるようになっている。その中でも、旅行会社としてのHISの強みはある。コロナ禍で海外拠点を整理せざるを得なかったが、それでも約160拠点で展開している。現地で何かあった場合は、HISはお客様に対してさまざまなケアを提供することができる。海外での安心安全のサポートの点でHISの存在は強いと思う。HISに来店していただければ、スタッフが日本語で対応できる。そこに価値を見出すお客様に選んでいただけるのではないか。

 これからの旅行会社は、何か特別な情報を持っているとか、何か特別なことができるとか、差別化ができないと生き残るのは大変だと思う。

-2022年も農業やグランピングなど他業種にも参入されました。今後の新規事業についてのお考えをお聞かせください。
昨年の12月にコーポレートロゴを一新。パーパスを重視した経営にするためコーポレートロゴをパーパスのタグラインを入れたロゴに変更

澤田 まず、コロナ禍で国内旅行に力を入れてきたが、これが大きく伸びて今では大きな柱になりつつある。新規事業としては、飲食、農業、グランピングも始めたが、まだHISの利益に寄与するところまでには至っていない。薄型ソーラー発電の開発については、今年工場を建てる計画を進めている。このほか、ロボットにも関心を持っている。

 コロナ禍で旅行業は大打撃を受けた。HISとしては引き続き旅行業にも力を入れていくが、次の大きな柱として、新しい産業を育てていきたいと考えている。



-世界的に観光産業の人材不足が課題となっていますが、この状況をどのようにお考えでしょうか。

澤田 HISは単体で、4000人以上の社員がいるので人材不足の問題はない。コロナ禍でもリストラを一切しなかった。旅行需要が戻ってきても、人材が問題になることはないだろう。他社に出向していた社員も現在は戻しつつあり、2023年中には全員戻る。

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