ANTA二階氏、訪日再開や7月の全国旅行支援で「この機会を逃さず奮起を」

  • 2022年7月1日

ANTA会長の二階俊博氏

 全国旅行業協会(ANTA)は6月29日、都内で第58回定時総会を開催した。冒頭に登壇したANTA会長の二階俊博氏は、6月10日から政府が添乗員付き訪日パッケージツアーの受け入れを再開したことや、7月前半より全国を対象とした新たな需要喚起策として全国旅行支援を実施する計画であることに触れ、「旅行業界も一寸先は闇という状況から少しは明るい兆しを感じることができるようになった」とコメント。「ANTA会員もこの機会を逃さず、適切な感染防止対策を講じながら、日本の観光業界活性化のために互いに奮起しなければいけない」と強調した。

 その上で、「人頼り、人待ちで誰かが何かをしてくれるだろうというのではことが始まらない」と語り、「我々が先頭に立って、日本の旅行は安全ですよ、元気出そうじゃないか、という呼びかけをするくらいの意気込みを」持つようにと呼びかけるとともに、「十分努力してこの難関を乗り越えていかないといけない。我々が切り開いていくよりない」と檄を飛ばした。

観光庁長官の和田浩一氏

 また、来賓として登壇した観光庁長官の和田浩一氏も、訪日客受入れ再開と全国旅行支援について「いずれも観光の復興に向けて大きな転換点となる」と喜びを示した。今後は「平時への回復に向けてさらに歩みを進めていかなければならない」とし、ANTAをはじめとした観光関係団体や企業と意見交換を継続し、内外交流の活発化に向けた取り組みを進めていく考えを示した。

 ANTAとしては、今年度は引き続きコロナ感染防止対策と社会経済活動の両立をめざし、旅行業の復活と旅行者の安心・安全確保に取り組む方針。中小旅行業者の経営の維持と雇用の確保に向けた要望活動に取り組むとともに、感染防止対策を徹底させつつGoToトラベル事業などの旅行需要回復策に積極的に参加し、会員への事業の周知と円滑な推進をはかる。

 ANTAによれば、GoToトラベル事業については要望の成果もあり、昨年11月に観光庁が発表した指針では貸切バスを含む交通付き商品の割引上限額の引き上げや、団体旅行が対象になった。各方面に要望し続けたというGoToトラベルの早期再開については、慎重論が強かったものの7月前半から都道府県による全国旅行支援が先行して実施されることになったことを説明。引き続きGoToトラベル早期再開の要望を関係団体と連携して強く進めていく方針だ。全国旅行支援については7月1日にGoToトラベル事務局を活用した事務局の発足に向け準備調整中だといい、「GoToと同様の手続きで送客が可能と聞いている。協会としても引き続き情報収集提供に努めていく」とした。

総会は都内の「都市センターホテル」で開催

 国内旅行事業の振興については、2度の延期を経て、5月31日に山梨県甲府市で「第16回国内観光活性化フォーラムinやまなし」を開催したばかり。今年度は2023年3月9日に、山形県山形市で「第17回国内観光活性化フォーラムinやまがた」を開催する予定だ。国際観光交流活動については、近隣・アセアン諸国を中心に、2国間の双方向の観光交流再開に務めるとした。

 旅行の安全確保については、貸切バス旅行などの旅行の安全・安心確保と重大事故支援制度がセットになった「全旅協旅行災害補償制度」の利用促進に務める。このほか、試験事務代行事業や苦情処理業務、社員指導事業なども継続する。

 なお、同会によれば今年4月1日時点の会員数は5420社。2021年度はコロナの影響もあり179社が入会、243社が退会しており、2020年度から64社減となった。

 また、21年度の苦情相談件数は前年比46.6%減の92件で、このうち「取消料もしくは違約料等の相談」が最も多く46件と全体の50%を占めた。弁済認証件数は2社に対し55件で、認証決議額は2315万9920円。2社とも認証限度額を上回ったことから、還付額の合計は750万円となった。