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ホテルアメニティの多角化と質の向上で事業を拡大―山陽物産代表 武内英治氏

環境に配慮したバイオマスシリーズ商品も好調
アジアナンバーワンを目指し海外進出にも意欲

-自社開発している環境商品バイオマスシリーズについて教えてください。

武内 例えば、歯ブラシではハンドル部分に古米や砕米など植物由来の資源を活用することで、プラスチックの使用を35%削減しています。また、紙製容器包装マークを取得したパッケージを採用するなど環境に配慮した商品を自社開発・製造しています。

 開発に着手したのは今から15年前のことです。ちょうど京都議定書が採択された時期で、そのとき「これはピンチになる」と思いました。米の配分など開発には色々と苦労があったにもかかわらず、最初はほとんど売れませんでした。

 しかし、SDGsという言葉が一般的に出てきた2019年頃から市場の反応が変わってきました。2020年1月には米の配分を35%に増やすなど商品をリニューアルし、包材原料の半分以上を紙原料にしました。また、バイオマスマークも取得しました。

 売上が伸びてきたのは、2021年6月に資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)が成立し、2022年4月からの施行が決まってからです。今年1月から3月にかけては多くの新規採用をいただきました。新規顧客を3割から4割獲得できたのではないでしょうか。現在フル稼働で生産を進めています。

-Group GM社とのライセンス契約で海外ブランドの商品も取り扱っています。

武内 Group GMは、世界72カ国に販売網を広げる国際ホテルアメニティ販売グループです。私が台湾に旅行に行った際に出会った男性が、たまたま同じようにホテルアメニティを取り扱う会社を経営しており、その人の紹介でGroup GMとのつながりができたという幸運にも恵まれ、2008年に日本で唯一ライセンス契約を締結することができました。同社との契約のもと、フランスやイギリスなどのヨーロッパのハイブランドの化粧品を幅広く取り扱っています。

 また、当時、社内でも歯ブラシの将来性に疑問が上がっており、そのなかで、会社を安定的に成長させるためには、絶対に無くならないシャンプーとリンスの取り扱いを増やしていく必要があると考えていました。そのようなときにGroup GMと出会えたのは本当に幸運でした。

-今後、歯ブラシを置かない日本のホテルは増えると思いますか。

武内 置き続けていただきたいとは思っています。日本人からすると、ホテルに行けば歯ブラシはあるというのが当たり前になっていますので、習慣を変えることはないのではないかと希望しているところです。

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