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【弁護士に聞く】募集型企画旅行における宿泊税の扱いは?

  • 2022年4月21日

「旅行代金」に入れられるものは?

 前置きが長くなったが、本論に戻り、旅行代金には宿泊税を含めても別扱いにしても法律上の問題がないかを検討しよう。

 まず、殆どの旅行会社が自社約款に採用している標準旅行業約款募集型契約の部第2条1項は、募集型企画旅行を定義して、「当社が、旅行者の募集のためにあらかじめ、旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービスの内容並びに旅行者が当社に支払うべき旅行代金の額を定めた旅行に関する計画を作成し、これにより実施する旅行をいいます」とあるので、旅行代金は当社、すなわち旅行業者が自由に定めることができるものである。約款上は宿泊税を旅行代金に含めるか否かは旅行業者が決めて問題がないことになる。

 次に、旅行業法上であるが、「企画旅行に関する広告の表示基準について」と題する通達にも、この通達に基づき作られたJATA・ANTAの「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」にも宿泊税は具体例としては記載されてはいないが、旅行日程中に受ける旅行サービスに係る費用は旅行代金に含ませるのが原則で、旅行代金に含めずに別途徴収の場合は、消費者が誤解しないように明確にパンフ等に表示しておく必要があるとされている。宿泊税は、旅行日程中の宿泊サービスの提供を受ける際に必要な費用であるから、宿泊税を旅行代金に含ませずに別途扱いをする場合には、そのことにつき消費者が誤解しないように明確にパンフ等に表示しておけば旅行業法上の問題もないことになる。


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三浦雅生 弁護士
75年司法試験合格。76年明治大学法学部卒業。78年東京弁護士会に弁護士登録。91年に社団法人日本旅行業協会(JATA)「90年代の旅行業法制を考える会」、92年に運輸省「旅行業務適正化対策研究会」、93年に運輸省「旅行業問題研究会」、02年に国土交通省「旅行業法等検討懇談会」の各委員を歴任。15年2月観光庁「OTAガイドライン策定検討委員会」委員、同年11月国土交通省・厚生労働省「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」委員、16年1月国土交通省「軽井沢バス事故対策検討委員会」委員、同年10月観光庁「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」委員、17年6月新宿区民泊問題対策検討会議副議長、世田谷区民泊検討委員会委員長に各就任。