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地域に分け入るJAL社員たち~青森県弘前市編~

  • 2022年3月28日

弘前観光から津軽周遊観光へ
観光客目線で魅力発信に取り組む

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 日本有数の桜の名所として知られる青森県弘前市。市の国際広域観光課では、津軽の地域連携DMOとともに、弘前にとどまらない津軽圏域内の周遊観光の促進に力を入れている。

散った桜で外濠の水面がピンク色に染まる、弘前公園の花筏

青森県弘前市

国際広域観光課 漆舘正さん

青森県出身。1996年にJALセールスの前身となる北海道ツアーシステムに入社し、札幌で海外旅行手配や渡航業務全般に従事。その後JAL・JASが統合し、今のJALセールスの所属となり、法人セールスや道内支店勤務を経て、北海道支社総務部広報宣伝担当へ。北海道路線の販促キャンペーンや、JALが応援する企業や団体との協賛契約業務を通じて、北海道の魅力を機内誌やSNSで国内外に発信する業務を担当しました。2018年からは天王洲本社の国際販売部で旅行会社セールスを経験しました。

現在は弘前市国際広域観光課で、アフターコロナに向けたインバウンドへの情報発信や、観光資源の発掘や磨き上げ、津軽エリア14市町村の地域連携DMO「ClanPEONY 津軽」の活動推進をしています。

-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 まだ弘前を訪れたことがない方に是非一度見ていただきたいのは、弘前公園の桜です。着任直後がちょうど桜の開花時期で、さくらまつりの運営スタッフとして業務にあたったのですが、約2週間のまつり期間で変化する桜の風景にあらためて感動しました。桜が有名なことはもちろん知っていたのですが、種類によって咲くタイミングが違うことで毎日楽しめることや、散り際の桜吹雪、そして濠に散った桜がピンク色の水面に変化する花筏など、実に多様な姿を見せてくれます。

 住んでみて特色を感じるのは、津軽弁です。青森県は地域によって訛りや方言が違うのですが、弘前など津軽地方で話される言葉が津軽弁。方言の語彙が豊富で、言葉の抑揚で変化する感情表現も多様なので、初めて聞く人にはとても面白い耳心地体験になると思います。方言が徐々に薄れてしまっていく現代において、しっかりと地域の言葉が継承されて根付いているので、訪れた際には町の人の会話にじっくり耳を傾けてみてほしいです。

最も好きな風景は、津軽富士(岩木山)と津軽平野に広がる田園

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 津軽地方の中心都市として発展してきた弘前は、桜まつりやねぷたまつりなど季節を彩る行事に加えて、城や洋館などの歴史的な観光資源も豊富です。ですが、ほかにも全国的には知られていないながら魅力的な観光地が多く、津軽一帯を周遊して観光してもらえるように広域で情報を発信していくことが重要だと感じました。

 そのために、津軽地域14市町村で構成する地域連携DMO「ClanPEONY津軽」で、各市町村の観光担当者と1年かけて広域観光マップを作成しました。従来の地図的な役割から、「津軽を巡ってみたくなるワクワクするマップ」に変えようと、地域の特徴をイラストで表現し、観光地の文章や画像も見直して14市町村でベクトルを合わせて作り上げることができました。多くの方に手に取っていただき、津軽地域を周遊してもらいたいです。今後は、訪日インバウンド観光客にも利用していただけるようマップの多言語化に取り組んでいきたいと考えています。

ClanPEONY津軽のメンバー。旧弘前市立図書館前で。

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