地域に分け入るJAL社員たち ~静岡県編~

  • 2022年2月3日

魅力ある体験の充実へ 目指すは「ホノルルセンチュリーライド」とのコラボ
インフルエンサーチームを結成してプロモーションに注力

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 第5回は、浜名湖観光圏の豊かな水の恵みを活かした体験商品の拡充に努める、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー マーケティング・事業創出部の蓑島秀幸さんと、同事業本部長の前田忍さんに話を聞いた。

浜松・浜名湖ツーリズムビューロー

マーケティング・事業創出部 蓑島秀幸さん

愛知県名古屋市出身。1992年にJALセールスに入社して名古屋支店に配属となり、航空券や旅行商品の販売を担当しました。2013年12月に金沢支店へ異動。翌年に開業する北陸新幹線に負けないよう航空需要を喚起し交流人口を拡大させること、路線維持を最大のミッションに、旅行会社への営業に加え、自治体にも航空利用促進施策の提案などを行いました。2017年からは東京本店エリア販売部に異動し、首都圏の旅行会社、自治体を担当しました。

2021年1月より、静岡県西部にある浜名湖を中心に、東の浜松市と西の湖西市からなる地域連携DMO「浜松・浜名湖ツーリズムビューロー」に出向。交通事業者、ホテル、観光施設、観光協会、地元企業と連携し、地域の魅力発信、新たな観光資源の創出など、浜松・浜名湖の観光振興に関わる業務を担当しています。

-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 浜松市は全国の市区町村で2番目の広さで、汽水湖として有名な浜名湖、その南に広がる遠州灘、北には湖北連峰、さらには南アルプス深南部の山々など、恵まれた自然環境があり、スズキ、ヤマハ、ホンダなどの企業を抱える日本でも有数の工業都市でもあります。温暖な気候で自然と都会が融合している、バランスの取れた住みやすい街です。

 海あり山ありの当地では「観る」観光もたくさんありますが、「体験」や「経験」の観光素材も豊富です。例えば、春から秋にかけての夜の浜名湖には、「たきや漁」という100年以上続く独特の伝統漁があります。暗闇のなか水中を照らして寝ている魚やカニ、タコを銛で突き、湖上に浮かぶ筏で天ぷらや味噌汁などに調理するというもので、漁師飯を湖の上で味わう唯一無二の体験です! 地元の人も何度も訪れる「たきや漁」は、感動間違いなしです。

たきや漁

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 私は隣県の愛知出身なので当然浜名湖は知っていましたが、辞令が出たときに同僚や部下に聞いたところ、「今でこそ知っているがこの業界に入るまでは知らなかった」という答えがほとんどでした。また関東、中京、関西圏の方々にはある程度の知名度はあるでしょうが、全国で見るとまだまだ。先日九州に行く機会があり、福岡の方にも聞いてみましたがご存じなく、静岡県だと教えると「あ~富士山ね」という反応でした。「既存の」、「眠っている」、「新しい」観光資源の情報を収集して発信し、まずは知名度を上げることが必要だと感じています。

 現在、多くの方々に浜松・浜名湖の魅力を伝えるために「食」や「体験」、「海」、「山」など、あらゆる観光素材を動画や記事として蓄積しています。アフターコロナも見据え動画に字幕を入れる計画もあります。今後も国内、海外問わず様々な手段で発信していきます。

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