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【弁護士に聞く】就業規則以外のチェックポイントも 旅行会社、観光産業従事者の副業

WinWinの副業へ

 会社の業務に関連する副業は注意を要する点が多いが、反対に会社が協力してやれば、双方にとって利益を図れるかも知れない。従業員に副業からの収入を認める代わりに、その副業によって会社にもプラスになるような副業を奨励するものである。

 たとえば、前述のブログの作成等を会社とは関係なく個人で行う場合には、一般的には匿名かつ「大手旅行会社勤務」程度しか記載しないのが通常だが、社名も明示して行うことを会社が認めるのである。会社が立ち上げたブログに従業員がコンテンツを載せることは一般的にもあるが、あくまで従業員が会社とは離れて個人として自由な立場でブログを開設することが重要だ。ブログによるアフィリエイト収入も当該従業員の副収入となる。そのブログが魅力的でフォロワーが増えれば、必然的に会社への好感度も上がるだろうし、ブログで紹介されたツアーに魅力を感じればツアー申込にも繋がるかも知れない。いわゆるサテライトサイト的に、ブログの中に会社ツアーのリンクを設けることがあってもよいだろう。何より、会社名も明示して、従業員個人が積極的に様々な情報発信を行うことにより、この会社に入ればこんな面白い経験ができる、こんなに自由に情報発信や副業を認める会社は魅力的、といった意味でリクルーティングにも貢献するようになるかも知れない。

 もちろん、当該ブログが読者の反感を買って炎上するようなことがあれば会社イメージにも悪影響があるので、それだけのリスクをとれる信頼のおける従業員に限られるが(事前に会社が原稿を検閲したり監視をすることは、個人の自由な発想を萎ませる結果になるので、お勧めできない)。


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三浦雅生 弁護士
75年司法試験合格。76年明治大学法学部卒業。78年東京弁護士会に弁護士登録。91年に社団法人日本旅行業協会(JATA)「90年代の旅行業法制を考える会」、92年に運輸省「旅行業務適正化対策研究会」、93年に運輸省「旅行業問題研究会」、02年に国土交通省「旅行業法等検討懇談会」の各委員を歴任。15年2月観光庁「OTAガイドライン策定検討委員会」委員、同年11月国土交通省・厚生労働省「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」委員、16年1月国土交通省「軽井沢バス事故対策検討委員会」委員、同年10月観光庁「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」委員、17年6月新宿区民泊問題対策検討会議副議長、世田谷区民泊検討委員会委員長に各就任。