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【弁護士に聞く】就業規則以外のチェックポイントも 旅行会社、観光産業従事者の副業

 大手航空会社の40代男性職員の年収がコロナ禍で激減し、会社も副業を勧めていることから、ウーバーイーツの配達員をしているという話を聞いて、慄然とした。収入も多くは見込めないだろうに、何よりも体力の維持には良いのかも知れないが、これまで培ってきたスキルとも関係なく、将来へ向けての投資にもならないからである。

スキル維持かスキルアップの副業の選択

 とは言っても、旅行に行きたくとも行けない社会状況により、旅行需要が激減した中で、仕事にあぶれた旅行会社や観光産業従事者が、旅行関連や観光関連の仕事に副業を求めるのは難しいのかも知れない。実は、勤務する会社の仕事と関連する副業と全く関連のない副業とでは、法律上注意すべき点が異なる。そこで、専ら想像によるものではあるが、先ずは、旅行会社や観光産業等の会社の仕事に関連する副業を考えてみた。

(1) 旅行ライター(有償で原稿募集している会社もある)
(2) 旅行をテーマとしたブログ作成(旅の提案や観光地紹介、ホテル紹介等)
(3) バイヤー(旅行先での産品買付)
(4) 個人を相手にした旅行プランニングやアドバイザリー
(5) 旅行先で撮った写真やビデオの販売

法律上の注意点

 どんな副業を選ぶ際にも最初に確認しなければならないのが、会社の就業規則だ。副業禁止の規定がないか、副業するのに会社の許可あるいは届出義務がないか等の就業規則の内容確認である。会社にとっては、従業員に自社の労務に専念して欲しいとして副業を禁止したり、従業員の健康管理のために副業の許可又は届出制をとっているところも少なくなく、合理的理由があることから、これらの副業禁止や副業制限規定は法律上有効であるとされている(働き方改革が叫ばれて、多様な経験をすべきとして副業解禁になってきたのは最近のことである)。

 会社の業務に関連しない副業であれば、就業規則に副業が禁止されていなければ、あとは本業に支障のない範囲で行う分には問題はない。

 会社の業務に関連する上述したような副業の場合には、さらに注意を要するのが、競業禁止規定だ。副業が許されていても、競業禁止の規定があるのが通常だからである。競業禁止の典型例は競業他社での副業だが、たとえば上記プランニングなども、会社でも請けられた依頼を個人で請けた場合は、競業禁止規定に触れることになる。バイヤーや写真販売なども、会社の業務にフリーライドしての副業と受け取られかねず、フリーライドとされれば競業禁止規定に触れるので要注意だ。本業への支障(ツアー業務中、副業にかまけて業務をおろそかにする等)の生じる場合や、業務上の秘密を漏洩する場合(ブログ作成に際して、価値ある情報を提供しようとするあまり、会社の内部情報やノウハウを記載してしまうなど)も、就業規則に違反することになる。

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