【コラム】緊急事態宣言明けの札幌、そこから見えるカンフル剤の効果と後遺症懸念

  • 2021年11月28日

 今週は「北海道ウィーク」と題し、北海道観光に関わる方々のインタビューを連日掲載させて頂きます。北海道運輸局の加藤局長を皮切に、北海道エアポート蒲生社長、北海道グラウンドサービス永井社長、サツドラホールディングス富山社長、由縁札幌粂川支配人と続きます。皆さんそれぞれのお立場で、現状や将来に関して語っていただいていますので、是非お読みください。

 また、インタビュー以外でも旅行会社・ホテル・物産店・飲食店等の方々ともお会いし、情報交換をさせて頂きました。

 先ずは札幌の町の様子ですが、想像よりは遥かに人出や活気を感じました。JR札幌駅近くの「札幌ら~めん共和国」は、開店間もない11時過ぎには殆どのお店で入店待ちの列が出来ており、六花亭本店内の喫茶室も平日昼過ぎの時間で満席でした。お店の方によると、それでもコロナ前の3~5割減のようですし、聞くとは無しに耳に入る会話からは地元の方が多いように感じました。そしてもちろん外国人の方はほとんど見かけません。

 この一定の賑わいは、緊急事態宣言が明けた事により人々のマインドセットが明るくなってきたことや、これまでの自粛の反動も有るのでしょうが、道民割のようなカンフル剤の効果も大きいと思われます。

 年明けにはGo Toトラベルも再開されるでしょうから、札幌に限らず日本国中の観光地がより大きなカンフル効果を享受するでしょう。

 しかし、先日のインタビューにて岩崎産業社長が仰っているように、Go Toトラベルが向こう10年続くわけではなく、長くて半年程度だと思われます。

 人体に用いる薬と同じく、即効性の有る対処療法には必ず副作用が有り、長期投薬は出来ません。我々はその点をしっかり認識し、抜本的な原因療法に取り組むべく、これまでの観光産業が抱えていた根本的な問題とその原因を追求してこそ、本当の意味での観光産業再興が実現するものと考えます。

 固い事を書きましたが、久しぶりに行った札幌はコロナ前と変わらず素晴らしいところでした。北海道でしか食べられない海の幸、寒くなってきたからこそより美味しく感じるラーメンやスープカレー、ビールが進むジンギスカン…もちろん、食だけが魅力なのでは有りませんが、道民外も対象とした各種のキャンペーンが始まった今、食い倒れに行くことをお勧めします!



岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​