公認会計士が教える会計知識vol.8 消費税とインボイス制度ーゼロベース代表 渡邊勇教氏寄稿 

  • 2021年11月1日

納税が必要な消費税の算定方法を知る

 消費税は、最終的に消費する人が負担する税金です。以下のイラストをご覧ください。モノやサービスが最終消費者に届くには、いくつかの経路をたどります。以下のイラストでは、洋服が挙げられています。取引をするごとに売価が設定されます。売価は原価+利益によって構成されており、この利益に相当する消費税を各業者が国や地方自治体に納税する、という流れをとります。結果として、この例で言うところの10万円の商品に対する1万円の消費税は、どこかで徴収され、しっかりと納税される、という流れになっています。

参照:財務省ウェブサイト

 納税する消費税額の算定は、ずばり「預かった消費税−支払った消費税」です。ここで例をあげてみましょう。売上1億円の会社があります。かかる経費は、仕入4,000万円(課税)、人件費3,000万円(対象外)、その他経費2,000万円(課税)と想定します。この場合の納める消費税額は次のように計算されます。

内容取引金額消費税額
売上高10,000万円1,000万円
仕入△4,000万円△400万円
人件費△3,000万円
その他経費△2,000万円△200万円
利益(差引金額)1,000万円400万円

 ご覧いただいていかがでしょうか。主に給料からなる人件費は消費税がありません。そのため、支払った消費税は0円となるため、この分納税が増えているように見えます。しかし実態は、あくまでも「預かった消費税−支払った消費税」となっていますので、損をしたというものではありません。消費税の性質がこのようなモノなだけですので、その点間違いがないようご注意ください。

 なお、消費税の納税は、非常に大きな金額になることが多いです。納税資金に困ることがないよう、毎月いくらの納税見込みなのかをチェックしておくことがポイントです。

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