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コロナ禍中も力を入れる国内ホテル展開-ミナシア代表取締役社長 下嶋一義氏

ホテル単体ではなく地域の特色を取り込んだブランディングを目指す

-まだホテルを増やしていきますか。

下嶋 マネジメント契約のホテル運営を中心に増やします。オペレーションやマーケティング、ロイヤリティプログラムを強化するためにも多店舗運営にメリットがあります。日本のホテルチェーンは中小規模で効率が悪い。米国のように1000店舗とは言わないまでもホテル数は増やしたいですね。コロナ禍前の100店舗の目標は白紙化しましたが、新しく23年までに60店舗の目標を掲げています。

-長期滞在型の宿泊プランには関心がありますか。

下嶋 現在30日の宿泊プランを設定しており販売も好調です。都市部で交通の便が良く観光や飲食の素材が多い場所が良く売れています。リゾート地でも交通面の課題が解消される場所では今後、条件次第で利用が増えると見ています。

-GoToトラベルの効果はいかがでしたか。

下嶋 昨年4、5、6月は稼働率が20%から30%に落ち込みましたが、GoTo実施に合わせて9月頃から上昇。10月と11月は70%台まで回復しました。GoTo停止後は再下降し12月は60%台になりましたが、効果は大きかったと思います。昨年は金沢のホテルではコロナ禍前の2019年実績を上回りました。今後も国のGoToと地方自治体の旅行補助が合わされば爆発的に需要が伸びそうです。

-通年比較では昨年と今年、どちらの状況がよさそうですか。

下嶋 今年です。昨年は4、5、6月が緊急事態宣言1回目の影響で人流がぴたりと止まり、宿泊需要が激減しました。今年はそこまで人流が止まっていません。秋以降はGoToがあった昨年の方が良いと思いますが、今年はワクチン接種が進めば年末にレジャー需要が戻り始める期待が持てます。

 都市部のビジネス需要は戻っても80%から90%まで。完全回復はないと見ているので、都市部のホテルは新たな需要を生み出す必要があり、いま懸命に取り組んでいるところです。

-ホテル運営上のコロナ対応について教えてください。いわゆるマルチタスクにも取り組んでいますか。

下嶋 業務の統一化を進め、かなり効率的なオペレーションが可能になりました。これはコロナ禍の「おかげ」という面もあります。いったん筋肉質になったので今後も元には戻らないと思います。

 清掃は自社グループの別会社などに外注しており、マルチタスク化はしていません。ただし3人から4人を配置していたフロントを、1人から2人で回せるように改善したり、PMS(宿泊管理システム)の変更、プロセスの工夫で無駄な作業を削ぎ落し、シンプルなオペレーションを実現。人件費は2019年比で30%から40%削減できました。

-読者へのメッセージをお願いいたします。

下嶋 ハワイやラスベガスの状況を見ると、かなり旅行客が戻っています。コロナ禍が落ち着きさえすれば需要は戻ります。それまでに、いかに魅力的な商品を作り差別化を図れるか。また顧客満足度を上げる工夫をどう用意するか。そこが問われています。需要は必ず戻るので、いざ需要が戻った時には顧客から選んでもらえるよう準備を尽くす。それがいま力を注ぐべきことだと思います。

-ありがとうございました。