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観光バスの安心・安全に取り組み、積極的にPRしていく―北海道のドリーム観光バス社長 宗方淳剛氏

厳しい状況だからこそ、ライバル会社と協力することできっと光は見えてくる

-衛生対策や経費削減等、これまでの取り組みをお聞かせください。

宗方 衛生面は運輸局からの補助金を利用して、除菌や次亜塩素酸の噴霧器、ドライバーと客室の間の仕切り版等の安全対策を行っております。

 経済面では、会社の存続・雇用の維持を優先に、各金融機関からの借入や雇用調整助成金の利用をしています。そして、コロナ禍により「預かり減車」が容易になりました。そのため極力減車することで保険料を下げ、残った車を効率よく回していくという対策を行っています。今はバスの価格が暴落しているので売却するタイミングでもないですし、ワクチンが行き渡れば旅行に出かけたいというお客様のニーズがあるのを聞いておりますので、その際に対応できるように運営しています。

-コロナが収束した場合、観光バスを利用する団体旅行の形式は元に戻るとお考えでしょうか。

宗方 元には多分戻らないと思いますね。だからこそ今お客様に提供できる安心・安全とは何なのかを考え、あらためて今後の団体バスの在り方を模索しています。

 加えて、車両はあるものの、現在ドライバーやガイドの離職が増えており、コロナ収束後には各社で人手が不足することになると思います。特にガイドは喫緊の課題です。

-感染拡大は止まっていませんが、北海道を訪れる観光客数は少しずつ戻ってきていると感じますか。

宗方 個人のお客様はおそらく来道されていると思います。ただ、団体バスを使うようなツアーはほぼゼロに等しいです。

 修学旅行で北海道に来られる学校は2019年に比べれば少ないですが、ゼロではありません。昨年、我々は北海道庁に対して修学旅行・教育旅行に補助金を出してほしいと要望を出し、実現できました。具体的には3密を避けるため、今まで1クラス40名で1台のバスを利用していたのを1クラス2台に変更し、追加したもう1台のバスに対して補助していただくというものです。昨年の観光バス事業の売上の大半が学校関係の仕事で、今年度も補助金が継続されましたので、学校関係の手配をいただいております。

-今後ワクチンが行き渡り2022年にはコロナが収束している前提として、グループ需要はコロナ前に戻るとお考えですか。

宗方 今年度の目標で売上を5割くらいまで戻すことができたらと思っているものの、まだまだ遠い話で、これがコロナ前に戻るには3、4年かかると思っています。

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