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【コラム】生き残り、コロナ後も必要とされる形に変わる為に国の支援は不可欠です

  • 2021年4月11日

 先週は日本有数の温泉地「別府」へ取材に行きました。長野別府市長はじめ、DMOやホテル・旅館、地元の大学等々の皆様からお話しを伺い、厳しい現実と変化の芽吹き、共に実感してまいりました。

 宿泊施設に関しては、国際ブランドをはじめとした新設、既存施設の増床、民泊物件の増加等で供給量の激増とコロナが重なり、他の観光地と比べても更に厳しい状況です。また、何れコロナが収束しても約3割増えた供給量を消化するほどの需要は期待出来ず、「コロナさえ収束すれば」今の苦境から直ちに抜け出せる訳ではないところが、更に問題を難しくしています。

 そんな中、これまでの「宿泊施設」という業態から長期滞在型施設への業態転換、「温泉」の効能を科学的に検証し、その効果を更に高めるための入浴前後の施術や食事を提供する事業等、現存のモデルやハードに固執しない新たな挑戦をされようとしている方々が居られます。

 観光を取り巻くあらゆる条件や前提が変わる以上、このような新たな取組が地域の振興には必要で有るとともに、客室数の需給バランスを調整する役割を果たし、過度な価格競争を抑制する効果も有ると思われます。

 しかし、このような取組を事業者が実施するためには、事業再構築補助金のような制度、新たな挑戦に金融機関が積極的に融資するための政府保証などの拡充が不可欠です。持続化給付金や雇調金で乗り越えられる危機はあくまで数ヶ月で収まり、収まった後は平時に戻る事が前提です。

 コロナ前に声高に言われていたように、観光産業を国の基幹産業と今でも認識しているなら、コロナ後を見据えて観光産業が変化する為の国としての支援を切望します。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事