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シンガポール政府観光局、現地MICEイベントの実態を参加者が紹介-シンガポール・ウェビナー2021開催

  • 2021年3月23日

 シンガポール政府観光局(STB)は3月12日に「シンガポール・ウェビナー2021」を開催し、現地の最新情報を提供するとともに、昨年11月と今年1月にシンガポールが世界に先駆けて実施したリアルMICEイベントの内容を紹介。イベントを現地取材した日本人記者が開催時の様子を報告した。

 ウェビナーの冒頭で挨拶したSTB北アジア局長のマーカス・タン氏はシンガポールの現状について、国内感染者がゼロの状況が続いているとしたうえで「観光施設やイベント会場での収容人数制限が緩和されるなど活動再開に向けた安全かつ段階的なアプローチが可能になった」と述べ、観光やMICE再開に向けた自信を示した。

タン氏

 またシンガポールでは昨年7月に策定された「安全なビジネスイベントに向けた枠組み」を、MICEの試みに対して最優先で導入し、今年2月までに50のイベントを試験開催。その中には、コロナ禍における世界初のリアル国際展示会として昨年11月に開催された「トラベル・リバイブ」に国内外の1000名が参加した実績や、今年2月の「PCMAコンビーニング・リーダーズ2021」が成功裏に開催されたことも報告。「さらに世界経済フォーラム(通称ダボス会議)や国際戦略研究所主催のシャングリラ・ダイアローグの開催も予定している」(タン氏)とし、さらに大規模な国際会議の開催へ向けて準備が進んでいることを説明した。

 シンガポールは新型コロナウィルスの感染抑止に成功しており、今年中には全国民へのワクチン接種も完了する見込みだ。経済活動も正常化に向けて順調に進んでおり、昨年12月には3段階の回復シナリオの中間であるフェーズ2から、最終段階のフェーズ3に移行。観光アトラクション施設の人数制限も収容可能人数の50%から65%に引き下げられ、飲食についても1テーブル5人までの人数制限を8人までに緩和。現地では45の観光アトラクション施設と270ホテル、1686の国内ツアーが事業再開している。またクルーズも昨年11月からシンガポールの居住者を対象に再開しており、ゲンティンクルーズやロイヤルカリビアンクルーズが運航している。

松本氏(左)と嶺井氏(右)

 今回のウェビナーでは、経済活動や観光の再開へ順調な歩みを見せるシンガポールで開催された2つの国際イベントについてのレポートが行われた。昨年11月の国際旅行展示会「トラベル・リバイブ」に参加した航空新聞社の嶺井正敏記者は、シンガポールへの渡航に必要となる日本でのPCR検査の実態から日本と現地の出入国まで、実体験に基づいて報告した。

 それによると、シンガポール渡航に必要となるセーフトラベルパスの承認レターの用意やシンガポール入国はスムーズだったものの、「必要となる日本出発前のPCR検査については、英語による陰性証明書の発行に時間がかかる問題や、海外渡航者向けの検査が曜日限定される問題などがあり、苦労した面があった」と説明した。また現地のイベントでは会場への入場前の抗原検査や、会場内でのゾーニングと人数制限、あるいは会場外での行動が確認できる携帯追跡端末「Trace Together」を入国時に渡されるなど、感染予防対策が徹底している印象を受けたと述べた。

 また今年1月に開催されたPCMA(プロフェッショナル・コンベンション・マネジメント・アソシエーション)主催の国際イベント「PCMAコビーニング・リーダーズ2021」は元トラベルビジョン編集長の松本裕一氏がレポート。「ディスカッションでは、カナダのメンバーがホログラムで参加するなど、新しい手法も積極的に取り入れていた。シンガポールがさまざまな試みに挑戦し、この分野における世界の先駆者になり、スタンダードセッターになろうとの意欲を具体的に見せたイベントだった」と感想を語った。