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航空会社のバックボーン活かし課題解決、観光立県での復活を目指す―沖縄県議会議員 西銘啓史郎氏

入域者数よりも人泊数、量から質への転換を

-コロナ収束に向けた県としての取り組みをお聞かせください

西銘 県ではPCR検査を2500円で受けられるようにしています。検査は未来を保証するものではありませんが、安心して来てもらえる島になるよう環境を整えています。また「旅行者専用相談センター(TACO)」を開設し、感染予防、拡大防止のための情報を発信したり、発熱が認められた場合の相談などを受け付けています。

 とはいえ水際対策は100%ではありません。完璧に0にすることはできませんので、県を立て直すにはやはり、「without」ではなく「with」コロナで行くしかないと考えています。

-観光産業再生に向けて検討されている支援についてお聞かせください

西銘 沖縄には約30の基金があり、有事の際はこちらを取り崩して対策に充てます。また県では2年ほど前から観光目的税として宿泊税の導入を検討しており、こちらから50億円程度を観光関連の基金として街の整備や美化に使う計画でした。しかしコロナ禍で実現には至らなかったため、別途観光産業に回せる基金を積み立てるべきと考えています。

-元航空会社社員として、航空会社に期待されることはありますでしょうか

西銘 航空会社は路線への参入も撤退も自由ですが、公共交通機関としての役割もあるため、特にFSCは一部の黒字路線で収支を合わせながら、6割から7割を占める赤字路線を維持してきました。航空会社では雇用を守るため社員を異業種に出向させているといったニュースも耳にしますが、今は耐えて、次に大きくジャンプしてもらいたいと願っています。一利用者としても、「新しいスタイル」とはいうものの、リモートばかりでなく、やはり直接顔を見て話をすることが大切だと思っています。

-トラベルビジョンの読者、特に沖縄の観光産業従事者に向けたメッセージをお願いいたします

西銘 沖縄で観光産業に携わる方は、直接雇用で4万人、間接的な業種も含めると10数万人に上ります。今は苦しいけれども必ず朝が来ます。

 課題を解決し、要望を実現しなければ、政治家の存在価値はないと考えています。今、都道府県知事に危機管理能力や課題解決力が求められているように、全国の都道府県議会議員、市町村議員にもその能力が問われています。県では今月、観光スポーツ振興議員連盟を立ち上げます。他都道府県とも交流しながら、観光産業の方々と定期的に勉強会や意見交換会を行っていきたいと考えています。

-ありがとうございました