カナダ各州、新プロダクトの提案で需要の季節平準化-RVC2019 (2)

  • 2019年6月18日

「WOWエクスペリエンス」を積極アピール
先住民、食、ライフスタイルの素材を提案RVC

ケベック州
都市など5つのテーマで夏と冬の需要喚起を

ケベック州観光局日本代表の中島奈緒子氏

 ケベック州への日本人旅行者数はACのモントリオール線就航もあり、2017年の9436人から2018年は20498人に倍増した。ケベック州観光局では14の現地体験を提案。そのうち日本市場には大自然へのゲートウェイ、アウトドアアクティビティ、ローカルグルメ、カルチャー、都市の5つのテーマに絞ってプロモーションを進める。

 具体的にはカナダ観光局の「WOWエクスペリエンス・コレクションズ」に選ばれているモントリオールのノートルダム大聖堂内部でのプロジェクションマッピング「オーラ」、自然とアートが融合した「ルミナ・ナイトウォーク」、ケベックシティ旧市街、モントリオールやケベックシティのウィンターフェスティバルを積極的に提案していく。ケベック州観光局日本代表の中島奈緒子氏は「秋の需要は引き続き高いが、夏と冬に課題がある」との認識から、紅葉のメープル街道からの季節分散化をはかっていく考えを示した。

 新しいプロダクトしては、モントリオールとケベックシティの中間、トロワ・リヴィエールの郊外にあるオーベルジュ「ル・バルシュン」がある。4つのヴィラ全89室。オーガニックなグルメをはじめ四季それぞれのエコ体験を提供している。「ローカルでオーセンティックなケベックを楽しむことができる」とビジネス開発マネージャーの小坂田英子氏。この秋には初めて日本人グループを受け入れる予定だという。

ブリティッシュ・コロンビア州
春と冬の商品も増加、AC関空線にも期待

BC州観光局市場開発マネージャーのモニカ・リーク氏(左)と日本地区マネージャーの嵐賢吾氏

 ブリティッシュ・コロンビア州の課題は夏以外の季節の需要喚起だが、同州観光局日本地区マネージャーの嵐賢吾氏は「春と冬の商品数も増えており、送客も増加している」と話す。日本人旅行者数も直近の2019年2月で前年比15.5%増、3月で同11%増になっているという。夏のホテルは高騰する傾向にあることから、今後も季節の平準化を進めていきたい考えだ。

 訴求ポイントとしては、カナダ観光局の「WOWエクスペリエンス・コレクションズ」を中心に、春は桜をはじめとする花、秋はオカナガンの紅葉、冬はバンクーバーやビクトリアのイルミネーションを提案。また、通年でバンクーバーの食ツアーを積極的に紹介していく。

 また、従来の航空ネットワークに加えて、今夏ACで運航される関空/バンクーバー線や今年3月に新規就航したJALの成田/シアトル線にも期待。嵐氏は「旅行会社の要望を聞き入れながら、一緒に新しいプロダクトを造っていきたい」と意欲を示した。

ユーコン準州
ジェット機でこれまでにないオーロラ鑑賞体験を

ユーコン準州観光局日本地区セールス担当の高橋由香氏(左)とアジアパシフィック担当マーケットマネージャーの山本安彦氏

 ユーコン準州観光局では、来年2月に全米公開される映画「Call of the Wild (邦題「野生の呼び声」)」をフックとしたプロモーションを計画する。この映画はジャック・ロンドン原作でゴールドラッシュ時代のユーコンが舞台。日本公開はまだ未定だが、ドーソンを中心としたユーコンの歴史が映像化されることから、訴求強化の機会と捉えていく(日本地区セールス担当の高橋由香氏)。

 このほか、注目のプロダクトとして、ジェット機でオーロラを鑑賞する「オーロラ360エクスペリエンス」を押していく。フライトツアーは2020年1月の実施の予定。世界中の旅行会社から問い合わせが来ているという。すでにHISが今年3月に独自チャーターで実施。来年2月と3月にも実施する予定だ。上空約1万メートルでの鑑賞のため「天候に左右されず、360度オーロラに囲まれるというこれまでにない体験が味わえる」(アジアパシフィック担当マーケットマネージャーの山本安彦氏)。