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南アフリカ、アフリカ大陸の観光産業を牽引、中小企業の育成に一層尽力

  • 2019年6月12日

ラグビーワールドカップを機に日本との交流を加速
若年層の旅行者拡大へ向け尽力

若者の観光産業への参加を促し全産業で盛り上げる

「日本の京都は自分にとって最も愛する都市のひとつ」と語る、ハネコム氏

 会期中、ハネコム元観光大臣をはじめとする南アフリカの観光産業関係者と、日本のメディアとの会見が行われた。その中でハネコム氏は、ラグビーワールドカップ開催が控える日本との観光交流促進について、「相互の交流が大切。日本からお迎えするのはもちろん、日本を訪れる南アフリカ人を増やすことも重要と考えている。南アフリカの人々が、日本を訪れたい、外国へ行きたいと思える環境を整えていきたい」とアウトバウンドの促進に力を入れたいと述べた。

旅行業に留まらず、すべての産業を観光交流に結びつけていきたいと語るドラミニ氏

 一方、南アフリカ観光局最高経営責任者代理のステンビソ・ドラミニ氏は「日本はこれから伸びていくマーケット」と日本市場への期待感を表明。「ラグビーワールドカップは南アフリカを知ってもらえるとても大きなチャンス」とした上で、「日本の方々が求める商品や情報を知り、治安が悪いといったイメージを払拭することが課題だ。本当の南アフリカを発信し、南アフリカ旅行が選択されるよう模索していきたい」と述べた。

 ドラミニ氏は国内の旅行産業についても触れ、「若い人たちの参加を促し、彼らのスキルを伸ばしていくことが重要。2年前から実施している”We do tourism”というスローガンは、観光局だけの課題ではない。例えば農業が食文化につながるように、すべての産業がツーリズムに関連している。言葉の壁はあるが、テクノロジーなどを賢く使い、多くの人を迎えられるよう取り組んでいく」と観光産業のさらなる育成に言及した。

若年層の需要喚起へ”種をまき育てていく”

就任から約1年が経過し、日本市場の持つ潜在的なポテンシャルを感じているというモハメッド氏

 日本・韓国・中国を統括する南アフリカ観光局アジア太平洋地区ハブヘッドのマンスール・モハメッド氏にも、現地で話を聞くことができた。モハメッド氏は2019年の日本市場について、「ラグビーワールドカップや東京オリンピックを控え、南アフリカという国が注目されるので、とても重要な年と考えている」と述べた。

 「旅行会社に対しては、南アフリカの商品を販売するうえで何が障害になっているのかを私たちが認識できるよう、徹底的に向き合っていく。一般の方々に対しては、何より南アフリカを知っていただくことが大切だ。直近では、3カ月間で1億2000万円を日本に集中的に投下して広告やテレビ番組などを展開し、クルーズ船の寄港が増えるなど大きな成功を収めた。今後もラグビーチームと連携するなどして、南アフリカの楽しさ、素晴らしさを伝えていきたい」と手応えを語り、「現在南アフリカの日本人訪問者数は3万人弱だが、これを5万人程度まで伸ばしたい」と意気込みを語った。

 ターゲット層については、「シニア層が中心であることは変わらないが、若年層にも積極的にアプローチしていく」と表明。すぐに数字には表れないとしつつ、「アウトドアアクティビティやサファリ体験など、リーズナブルに楽しめる素材をプロモーションするなど、種をまいて徐々に育てていく」と述べた。

取材協力:南アフリカ観光局
取材:栗原景