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トップインタビュー:旅工房代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏

持続的成長には上場が必要
旅行業界の「信頼」回復へ

 4月18日に東証マザーズに上場した旅工房。投資家からの注目度も高く、上場した初日は買い注文が殺到したことで取引が成立しないほどだった。17年度3月期は増収増益で、18年3月期は売上高・利益ともに過去最高を見込む(関連記事)。「投資家の皆様から想定以上に良い反応があり、上場の効果を実感するとともに、身の引き締まる思い」という同社代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏に、今後の方針などについてお話をうかがった。


-まずは上場を決めた理由を教えてください

高山泰仁氏(以下敬称略) 1996年に代表取締役に就いてから21年が経過した。40歳を超えてから大学院に通い、MBA(経営学修士)を取得したが、そうした経験を踏まえて今後の事業展開について考えた時、会社が継続的に成長するためには上場が一番正しい道だと思った。「旅行業は21世紀の基幹産業」と言われているが、上場している旅行会社はあまりにも少ない。「会社の信頼性を高めたい」という思いもあり、3年半前に上場を決断した。

 上場には申請直前の2期の監査証明が必要なので、最低でも3年はかかる。16年度は旅行会社の個人情報の流出や労働基準法の違反などがあり、旅行会社が上場する環境としては厳しいものがあったが、こうした状況のなかで、最短のスケジュールで上場できたことは嬉しい限りだ。

 上場をめざす過程で、会社全体で予算管理の計画をしっかり立て、毎月実績が上がっているか確認を繰り返したことで、17年3月期は増収増益となった。特に経常利益は14年度3月期以降、右肩上がりで増加しており、社員一丸で上場をめざして取り組んだ結果、成長することができたと考えている。

 旅行会社の上場企業は少ないが、上場をめざして予算管理をしっかりおこない、売上目標などの達成をめざすことは会社の成長につながり、旅行会社が成長すれば業界全体も成長する。また、上場のためには監査法人がすべての契約をしっかりと精査する。日本の旅行業界は世界に比べて遅れている部分がある。今後の日本の旅行業界の発展のためにも、多くの会社が上場をめざしてくれたら嬉しい。


-貴社のビジネスモデルについて教えてください

高山 我々は日本人のFITを対象に、インターネット上で海外パッケージツアーや航空券、ホテルなどを販売する「個人事業」を中心にビジネスを展開しており、売上の約80%を占めている。そのほかは約18%が企業や官公庁などを対象にした「法人旅行事業」で、約2%が訪日旅行などを扱う「国際旅行事業」だ。

 個人事業の売上の9割以上は海外旅行が占めており、公式ウェブサイトなどでのパッケージツアーの販売と、各方面に精通した「トラベル・コンシェルジュ」によるコンサルティングを組み合わせた「ハイブリッド型」で事業を展開している。店舗を持ち、紙のパンフレットを作る従来型の旅行会社と違い、インターネット販売に特化してお客様のニーズに迅速に対応することで利益を出している。

 17年3月期の売上総利益率は前年から0.6ポイント増の13.9%で、トラベル・コンシェルジュのスキルアップで利益率が高まったと思う。今後は20%程度まで伸ばしていけると考えている。