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週間ランキング、1位は入社式の社長訓示、未来への「挑戦」

[総評] 今週の1位は、予想通り大手各社の入社式における社長訓示をまとめた記事が1位になりました。予想通りというのは、2011年から2015年までの5年間で見ても順位が3位、1位、1位、2位、1位と来ている大人気の記事で、今年も他を圧倒しました。

 今回の記事では、各社社長のお言葉のうち「挑戦」に着目しています。もちろん、例年は挑戦を求めていなかったのかといえばそんなことはありません。しかし、海外旅行の低迷や訪日ブーム、あるいはOTAとの競争、LCCやシェアリングエコノミーの浸透など経営環境が大きく変化していることは間違いなく、例えば5年前に民泊がどの程度話題性を持っていたかといったことを考えれば、現在の環境こそ英語の「challenging」な状態であるといえます。

 環境変化といえば、もう一つ象徴的な例が3位にランクインしています。オーストリア航空(OS)が9月4日を最後に日本路線を廃止するというもので、唐突な発表に驚かれた方も多かったのではないでしょうか。昨年にはヴァージン・アトランティック航空(VS)が撤退したほか、直近でも英国政府観光庁が日本事務所の規模を縮小したばかりで、日本路線の存在感が霞んでいることが感じられ極めて残念であるとともに今後への不安を感じます。

 こうした状況で少し業界研究をすれば、旅行業が放っておいても安泰のビジネスというわけではないことは分かるはずです。こんなことを書くと、あまり研究せずに入ってしまった方からすれば失敗したと思われるかもしれませんが、だからこそ必要なのは変革への挑戦なのです。それもしたくないというのであれば、早めに転職を検討しましょう。

 また、そうでない新入社員の皆様にとっても、これからの日々は「思っていたのと違う」「なんでこんなに理不尽なことをいわれなければならないのか」といった感情に悩まされながら様々な壁にぶつかる毎日になるでしょう。

 仕事の楽しさは、正直なところなかなか分からないかもしれません。個人的には「1浪3留」を経ての新卒26歳でしたので社会人になれただけで嬉しかったものですが、例えばつまらない作業であればそれをいかに早く終えるか、いかにベストの結果を出しつつ楽をするか、といった工夫することに楽しさを見出してきました。

 加えて、周囲の環境の変化に対して、従前の価値観にのみ固執していると取り残されてしまいますから、会社や自分が所属するチームの評価軸をきちんと理解し、それに合わせて行動することも推奨されます。

 昨年の当欄では、歳を重ね続けるこちらと毎年22歳前後で入ってくる新入社員とのギャップの広がりに触れましたが、こちらとしては理解できるよう精一杯努力するものの、最終的には過去から蓄積されてきた、あるいはその組織内で共有されている一定のルールやロジックで判断せざるを得ません。

 それに納得がいかないのであれば決まりを書き換えていく努力が求められますし、それすらも嫌ならばこれまた早めに自分に合った新天地に移ってもらった方がお互いのためです。

 一方、さきほど推奨と書きましたが、どうしても自分を曲げたくないという強い信念を持てるのは逆に稀有なことですから、そうであれば早く起業するなりして新しいルールやロジックを立ち上げ、業界を引っ張っていってほしいと心から思います。

 私自身、入社して2年もしないうちに先代の編集長が退職してしまい跡を継いで大変な思いはしたものの、それによって得られた自由度や経験からすれば本当に幸運なことだったと感じています。

 いずれにしても、社会人となれば後はすべての選択を自分の責任でしていかなければならず、選択を避けることはできず、そしてより良い将来のための選択肢は往々にして挑戦的です。その第一歩として、まずは「なぜそうしたのか」と周囲から問われた時にきちんと説明できることを意識すると、合理的な判断の訓練になるのではないかと思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年04月01日0時~04月08日16時)
第1位
入社式トップ訓示、各社が「挑戦を」-五輪以降見据え(16/04/03)

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顧客満足度、旅行会社1位はJTBとジャルパック、国際線1位はJL(16/04/07)

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※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆春闘:JTBグループ3社、郵船トラベル、日旅産業(16/04/04)