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新春トップインタビュー:OTOA会長 大畑貴彦氏

厳しさ続くも、JATAや行政と協力で課題解決へ
インバウンドも継続推進、まずは認知向上めざす

 アウトバウンド需要が低迷し、OTAの伸長など業界構造も変化する中で、日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長として同協会の舵取りをする大畑貴彦氏。OTOAでは2014年、会員であるツアーオペレーターが収益機会として期待するインバウンドへの取り組みも本格開始するなど、団体としての歩みを続けている。OTOA会長として2015年の市場動向をどのように予測し、どのような活動を展開するか、大畑氏に聞いた。


-2014年は貴会にとってどのような1年でしたか

大畑貴彦氏(以下、敬称略) 海外旅行では、出国者数が2013年は1747万人であったのに対して、2014年はおそらく1700万人ちょっとで2%から3%の前年割れになるのではないか。方面別では韓国と中国が大きく数を減らしていて、韓国で100万人程度、中国で数十万人とすると、これを考慮すればそれなりに善戦したと思う。

 ただ、OTOAにとっては、いつも言っていることだが、発表されてる1700万人というのが果たして旅行会社を通して旅行を手配したのか、オペレーターがそれを扱ったのかということが重要だ。肌感覚としては、出国者の数字は善戦していてもOTOA会員の事業はそうではない。

 OTAやLCCの浸透で、言い方は悪いがお客様を逃してしまっている。そういった流れは何年も前から指摘されているが、かなり進んできたなというのが実感だ。また、数年先を見ても、このまま1500万人、1600万人で推移するという予測もある。海外旅行を事業の柱としているOTOA会員にとっては、今後も非常に厳しい状況が続いていく可能性はある。


-オペレーターの経営環境がより厳しさを増した1年だったということですね

大畑 円安や消費増税、感染症、デモなど外的要因もあり、どう考えても厳しくなっている。例えばタイも、今は現地に問題はなく需要も戻ってきつつあるが、以前のようなV字回復ではなく戻りが鈍い。この背景には、消費税増税であったり円安であったり、いろいろな要因が重なり合っていると思う。

 そして繰り返しになるが、タイ国政府観光庁(TAT)が発表している日本人訪問者数は100万人を超えているが、旅行会社やオペレーターが使用されているのかどうか。航空券もホテルも個人で直接手配できる時代で、バンコクも地下鉄の整備で市内まで出やすくなるなど、旅行会社というより旅行者にとって非常に便利な環境になっていく。

 やはり、旅行業界としてはバンコクやソウル、ホノルルといった定番だけでは駄目で、その地域を目線を変えて見る、あるいは他のところに持っていくことが重要なのではないかと思う。