アクセスランキング、1位はLCC、ジェットスターが関空ハブ化

[総評] 今週は、ジェットスター・ジャパン(GK)が関西国際空港を国内で2番目のハブ空港とする記事が1位に入りました。関空はピーチ・アビエーションがハブとしており、関空側もLCC専用ターミナルをMMの利用を念頭に設置しているところです。いわばMMの牙城であり、そこにGKが切り込んでいくことになります。

 GKを含むジェットスター・グループでは、ジェットスター航空(JQ)、ジェットスター・アジア航空(3K)がすでに関空に就航しており、GKと3社でネットワークを構成することになります。例えば3Kがシンガポールやマニラ、台北から旅客を運び、関空から那覇や新千歳、福岡などにGKがつなぐ、といった展開を進めることでしょう。

 先日のインタビュー(リンク)でもお伝えしましたが、エアアジア・グループもグループ各社による相互的なネットワーク構築に注力しており、関空ハブ化も必然と考えられます。さらに、関空はもともと海外のLCCも多数乗り入れており、日本で最もLCCの競争が激しい空港といえます。

 LCC間の競争は、当然のことながらフルサービスキャリア(FSC)にも影響を与えると予想されます。海外ではLCCと競合する運賃のみ旅行会社向けのコミッションを復活したFSCもありましたが、同様の動きが日本で起きないとも限りません。コミッションという形ではないにせよ、従来と異なる環境の中で、旅行会社に寄せられる期待も変わっていく可能性があります。

 最大の市場である関東、あるいはそれ以外の地方の市場では関西ほど競争環境が変化していませんので今のところ実感を伴いませんが、遠からず同じような状況になる可能性は十分にありますので、関西以外で勤務されている場合でも動向を注意深く観察し、備えていかなければならないように思います。

 さて、今週はこのほか10位に観光庁長官の定例記者会見での記事が入っています。この中で、尖閣諸島や竹島に関連するアジア諸国との外交関係の緊迫化について、現時点では影響が出ていないという言及がなされていますが、今後については不透明であり、少なくとも楽観視できる状況ではなくなってきています。

 出国者数が記録的な伸びを示し、通年では1900万人にも達するかと期待されていたわけですが、市場規模を支える韓国、中国、台湾、香港など近距離アジアのデスティネーションが落ち込むとすれば非常な痛手です。これ以上事態が悪化しないように祈るばかりですが、トラベルビジョンとしても市場分析のお役に立てるよう、関係各所への取材を通して情報をお伝えしていきたいと考えています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年8月第4週:8月19日0時~8月24日17時)
第1位
ジェットスター・ジャパン、関空を拠点化-那覇線開設、既存路線増便も(12/08/23)

第2位
デルタ航空、羽田/デトロイト線運休へ-9月末まで運航(12/08/19)
デルタ、羽田/シアトルの市場規模に自信-日系提携先も検討継続(12/08/22)

第3位
日本航空、B777-300ERの座席を一新-13年の成田/ロンドン線から(12/08/19)

第4位
インタビュー:ツーリストエキスパーツ 高木英二氏(12/08/21)

第5位
シンガポール航空、A380デリバリーフライト航空券プレゼント-就航5周年で(12/08/21)

第6位
羽田発着枠配分に各社要望-吉田副大臣「地方側の努力、提案求める」(12/08/23)

第7位
全日空、燃油サーチャージ値下げ、10月発券分から(12/08/19)

第8位
日本旅行、下期はプレエコ・ビジネス利用商品増加-早期予約の取組深化(12/08/21)

第9位
全日空、海外空港まで「手ぶら」-ヤマト運輸と新サービス(12/08/20)

第10位
井手長官、韓国回復に期待、国際情勢の影響「現状なし」(12/08/19)