アクセスランキング、就職人気がダントツ、ESTA有料化もランクイン

  • 2010年3月13日
[総評] 今週のアクセスランキングは、毎日コミュニケーションズによる大学生の就職人気企業調査の記事が、他を圧倒して1位になりました。調査によると、文系の学生では男女ともにジェイティービー(JTB)が1番人気となり、3年連続でトップを守っています。JTBが1位になるのは過去10年間で9回目で、ほぼ毎年首位であるわけですが、この人気の理由はどこにあるのでしょうか。JTBだから、大手だから、というだけではエイチ・アイ・エス(HIS)が近畿日本ツーリスト(KNT)とともに順位を伸ばし、10位以内に入っていることの説明がつきません。やはり旅行業という点が学生の目に魅力的に映っていると考えるのが自然と思われます。

 こうした調査結果に対してよくいわれることですが、学生が旅行会社の仕事量や給与など雇用条件、激変し明日のこともはっきり見通せない業界環境など旅行会社の「現実」を理解した上で志望しているわけではなく、離職率の高さの一因になっている可能性もあります。就職は自らの人生を決める重要な選択であり、それくらいの下調べはして当然ともいえますが、旅行業界が有望な人材を確保するためには業界としてミスマッチングを減らす努力も必要かもしれません。そしてその際は、そもそもそれらの「現実」は旅行業で働く上で我慢しなければならないものなのか、構造上改善の余地がないものなのかという問いについても考えるべきでしょう。

 また、今週は米国の電子渡航認証システム(ESTA)を取得する際に10米ドルが必要になるニュースが2位にランクインしています。これは、米国への旅行プロモーションを目的とした「旅行促進法(TPA:Travel Promotion Act)」の財源を確保するための措置で、米国の旅行業界が拠出する予算と同額を政府がESTAの手数料収入から支出する計画です。業界と政府を合わせた予算の上限は2億米ドルで、業界が1億米ドル用意できれば2億米ドルもの費用をかけて全世界にプロモーションを実施できるようになります。

 問題はその使われ方でしょう。ESTA有料化によるネガティブな影響を超える効果をプロモーションで生み出さなければなりませんが、政府として実施する以上、特定の州やエリアを取り上げてプロモーションすることは困難だと思われます。また、その予算配分も悩みどころです。昨年9月時点で1月からのESTA申請件数は1130万件、このうち日本からの申請数はそのうち実に15%にあたる170万件で、当然有料化後の手数料収入のシェアも同じになります。日本旅行業協会(JATA)事務局長の奥山隆哉氏が先日の会見で発言されていましたが、相応の配分が日本市場になされなければ、心情としては納得しにくい話です。

 非常に困難な課題ですが、実効性があり、かつ各国の旅行業界に配慮したプロモーション計画が策定され、旅行業界側の取り組みとあわせて大きな効果がうまれるよう願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2010年3月第2週:3月8日2時〜3月12日18時)
第1位
就職人気、文系はJTBが1位、3年連続−100位以内にHIS、KNT、日旅(10/03/11)

第2位
ESTA申請に10ドルの手数料導入が決定−旅行促進プログラムが法案化(10/03/08)

第3位
フィンエアー、日本は最重要、役所広司さん起用で大型プロモ−羽田にも意欲(10/03/09)

第4位
学生海外旅行は「学び」重要、玉川大学が公開シンポジウム開催(10/03/08)

第5位
航空局、スカイマークを厳重注意−安全管理上の不適切対応で(10/03/10)

第6位
JL早期退職、次長、課長級と一般職も−コスト削減効果は180億円(10/03/10)

第7位
日本発航空運賃、値上がり傾向か−アメックス調査、第4四半期に9%増(10/03/09)

第8位
茨城空港が開港、アシアナ航空は初便搭乗率95%、目標平均80%に上方修正(10/03/12)

第9位
D/S養成講座、09年度は1287名合格、ハワイ人気変わらず(10/03/08)

第10位
HIS、東京ガールズコレクションで若い女性向けに海外旅行需要を喚起(10/03/08)