日本航空、大阪府に下期の関空線の増・減便を説明−近距離増便の活用策を

滋賀県、京都府、三重県、奈良県、和歌山県、大阪府、兵庫県の近畿地方2府5県と、その近隣県によって構成する近畿ブロック知事会は7月24日、JL、全日空(NH)、国土交通省に減便について陳情。近畿ブロック知事会会長で和歌山県知事の仁坂吉伸氏は「関西空港はアジアゲートウェイ構想の位置づけからも重要で、減便が続くと関空だけでなく、関西圏全体に影響を与える」と憂慮を示した。また、JLやNHへの訪問では「(燃油高による)コスト増で、会社の存続につながる問題」と両社がほぼ同様に説明したといい、「減便を前提とした話で、結論がある感を受けた」と語った。今後は関西圏全体で路線の維持に向け、自治体と経済界で構成する関西国際空港利用促進協議会として月末に改めてJL、NH、国土交通省を訪問するという。
▽外資系に顧客が流れるも市場規模の維持を−旅行会社の反応
大阪で海外旅行を取扱う旅行会社では、今回の国内線の減便、国際線の増便について、残念であるという感情を前提としつつ、「仕方がない」との見方が多い。ロンドン線については、業務渡航系の旅行会社からは「近畿圏からの出張では、ロンドンを訪問するよりも、乗り継ぎ需要の方が多い」として、関西に乗り入れる外資系航空会社を利用する動きにつながるとの考えを示す。一方で、レジャー系では、「減便により、さらに欧州方面が厳しくなる」という意見もある。特に、イギリス方面は「ヨーロッパの中でも苦戦をしているデスティネーション」という旅行会社もあり、JLがロンドン線の運休を検討する背景にあるようだ。
今回の減便は関西だけではなく、中部国際空港でもJLから福岡線と釜山線の運休、NHから台北線の運休について、愛知県は説明を受けたことを認めており、両社ともに燃油費の高騰をその大きな理由として示したという。旅行業界としては、日本旅行業協会(JATA)が打ち出したビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)に関西国際空港が協力の姿勢を打ち出しており、発着枠の問題から増便の期待が薄い関東以外での需要拡大に期待もあったところ。
JLに関しては、地方市場を含めた海外旅行市場の活性化という点では、国内線の減便は海外旅行にとって手痛い。市場は燃油サーチャージの高騰で縮小しており、今回の減便はこうした流れに心理的な拍車をかけることも予想される。だが、関西の業務渡航会社が示した他の欧州行き航空会社の利用促進を図るとともに、JLが増便を計画する中国路線を活用し、せめて市場規模は維持したいところだ。