新潟就航3社、県知事に要望書−国際チャーター促進前に市場拡大を

  • 2007年10月19日
 大韓航空(KE)、中国東方航空(MU)、コンチネンタル航空(CO)の新潟空港に発着する3社は、新潟県知事の泉田裕彦氏に国際線の活性化を目指した共同プロモーション提案する要望書を提出した。この要望書は国際チャーター便運航の規制緩和を受け、この拡大を図る動きに対して、海外旅行市場の拡大を同時に図ることが先決としている。チャーター便活用は、需要がまかないきれない季節に活用し、市場の値崩れの防止、限られた人的リソースの有効活用など、新潟空港の国際定期便を維持、または増便につなげる将来像を示している。

 新潟県は2006年の出国率が6.4%と全国で35位だが、県民の総所得は6兆5891億1500万円の14位と消費余力も考慮すると出国率の低さが気になるところ。こうした点から、チャーター便の促進では、販売で一機買い取りという契約形態から、売り切るために採算性を度外視した安売りを行う場合もあり、市場に値崩れが発生し、定期便にも悪影響が及ぶとの考えを示している。

 要望した3社の関係者によると、泉田知事から新潟で販売する東京経由の旅行商品が新潟発場合と比べ、廉価な設定があると指摘があったという。ただし、こうした価格体系は改善されつつあることが航空3社から報告され、知事もこうした背景について理解を示したという。今後、3社と県とが一体となり、成人を迎えた人たちへのパスポート取得促進をはじめ、青少年交流や修学旅行につなげる方向性を検討。また、「旅行博のようなイベントも検討したい」として、海外旅行促進につなげたい考え。

 新潟空港を利用する便では、先ごろ全日空(NH)が1日2便の福岡線の運休を県側に申し入れ、国土交通省が引き続き運航を検討する方向を模索するよう打診したところ。県側としても、空港利用促進に向けた意識も高く、今後は何らかの形で要望が実現される見通しだ。なお、新潟空港整備推進協議会は新潟空港を利用して、世界各地を訪問できることをアピールする目的で、サイト上に検索システムを掲載する策を講じている。

 日本旅行業協会(JATA)でも、海外旅行を中心とした市場拡大に向け、パスポート取得キャンペーンの推進や地方市場を含むチャーター便利用旅行の活性化について、海外旅行委員会で取りまとめている。ただし、航空会社の定期便が地方市場で撤退している状況も散見され、旅行業界としては新潟県だけでなく、2000万人に向けた定期便とチャーター便の活用法を見出していかなければ、規制緩和されたチャーター便のルール改正も無駄にしかねない。