大韓航空、日韓線重視で日本航空との提携強化も視野か、路線展開も積極姿勢

  • 2006年12月14日
(済州島発:鈴木次郎) 大韓航空(KE)常務(旅客路線営業担当)の咸哲鎬氏は、今後も日本路線を重視し、積極的な路線展開、仁川空港のハブ機能の向上に引き続き取り組んでいく考えを示した。

 咸氏は今年の見通しとして、KEの全収入のうち、日本市場では約15%程度にのぼる見込みを示し、この市場規模の大きさから「重要性は変わらない」と強調する。現在、KEは14都市、24路線、週192便を日本/韓国路線で運航。これは日韓路線で「最大規模を誇る」としており、特に「日本の多くの都市に就航している」ことで、日韓交流にも大きく貢献しているという考えだ。

 日韓路線では、日本航空との提携も重視する課題との認識も強い。現在、KEとJLは10月末からコードシェアを拡大しており、11路線、週186便と従来から約1.4倍の便数となっている。直接、言及はしなかったものの、先ごろの全日空(NH)とアシアナ航空(OZ)のコードシェアをはじめとする全面的な提携を踏まえていると見られ、「日韓を代表する2社の協調関係を今後も継続する」と語り、JLとの提携強化をにじませた発言となった。

 今年については北朝鮮の核問題が影響し、日本から韓国の訪問者がやや停滞しているが、韓国から日本への訪問は増加。特に、韓国発の需要では北海道への人気が高く、函館/ソウル線、札幌/釜山線、小松/ソウル線を今年、開設したところ。日韓路線以外には、アジアでの展開、特に中国とインドを重視。中国路線では仁川/大連線、仁川/煙台線、仁川/威海線をデイリー運航としたところ。また、インドについては、「来年、韓国/インド間の航空交渉が開催される。この席上で市場拡大に期待したい」と語り、積極的な路線展開を目指す姿勢を示した。

 こうした積極的な路線展開に際し、仁川のハブ機能の向上は旅客利便性の向上という観点から、継続的な取り組みを行う考え。特に、日本とは多くの路線を結んでおり、「仁川から世界各地へ」を実現するためのネットワークは拡充されているが、ラウンジをはじめ、空港内の施設向上について仁川空港に継続して働きかけていく。


▽機材購入で積極的な路線展開も視野、客室乗務員も積極採用へ

 KEでは先ごろ、長距離路線に投入できるボーイングB777-300ER型機10機をはじめ、ボーイングの25機購入を発表したばかり。これ以外に、2010年にはエアバスA380型機の導入も予定されている。

 これは咸氏が言及する積極的な路線展開を支える基盤だが、同時に客室乗務員についても積極的に採用をすることで、対応していくようだ。現在、KEの客室乗務員は4500名、このうち日本人は約40名で、成田をベースとしているが、今後は大阪にもベースをおく計画。

 既に日本人の客室乗務員の増加に向け11月に採用を行っており、訓練に入っているところだ。来年についても韓国人以外の客室乗務員を大量に採用する計画もある。このところ、KEはビジネスクラスをはじめ各種の賞を受賞するなど、サービス品質の評価も高まっており、路線展開の基盤となるサービス提供の態勢についても維持、向上を図る。