JALG、営業利益ほぼ半減も純利益は黒字を確保

  • 2006年11月9日
 JALグループの平成19年3月期連結中間期(平成18年4月1日〜9月30日)の売上高は3.4%増の1兆1500億200万円、営業利益48.3%減の81億6000万円、経常利益45.5%減の53億3500万円、中間純利益は前期比で135億5200万円改善し15億1000万円となり黒字を確保した。国際旅客に関しては路線ネットワークの再構築や機材のダウンサイジングを積極的に推進、国内旅客については導入以来高い利用率を保つ「クラスJ」で提供座席数、対象機材を拡大、および低コスト運航子会社ジャルエクスプレス(JC)の運航規模を拡大するなど、「2006-10年度中期経営計画」で策定した諸施策を実行。費用構造改革の着実な実施、基本賃金の10%カットなどの人件費抑制策などの収支改善策に取り組んだ。また、燃油費が前年比279億円増加したが、燃油価格の高騰に対してコスト削減や原油市況を睨んだヘッジ、燃油サーチャージの改定で可能な限りのインパクトの吸収に努めた。

 国際旅客は中期経営計画に沿って機材のダウンサイジングやリゾート路線のリストラを進め有効座席キロは10.8%減少。一方で需要はホノルル線、オセアニア線で伸び悩んだが米大陸線、欧州線、東南アジア線、韓国線などで堅調に推移したほか、中国線が反日運動の影響から完全回復を果たしたことで有償旅客数が6.5%減の676万569人、有償旅客キロが6.1%減の323億5426万7000人キロに留まった。その結果、国際線全体のロードファクターは前年比で3.5ポイント改善し、71.4%となった。また、運賃の改定や燃油サーチャージの改定で旅客単価が前年比で9.5%上昇し、収入は前年比2.9%増の3707億2000万円となった。
 国内旅客は個人旅客やビジネス旅客が伸び悩んだほか、団体旅客が前年の「愛・地球博」の反動や運賃改定による需要減などで前年を下回り、有償旅客数は0.4%減の2219万898人となった。この結果、有効座席キロが前年比で0.6%増となったのに対して、有償旅客キロが0.2%増、単価は燃油費の高騰に伴う運賃の改定で1.3%上昇し、収入は1.6%増の3458億6200万円となった。

 セグメント別では航空運送事業の売上高は2.99%増の9109億4900万円、営業利益34億8300万円の赤字、航空運送関連事業の売上高は前年比12.83%増の1794億7000万円、営業利益は89.57%増の48億7400万円、旅行企画販売事業セグメントの売上高は10.94%減の1946億6600万円、営業利益は51.41%減の8億1500万円。
 旅行事業については、ジャルパックは反日運動の影響から回復した中国方面は取扱いを増やしたが、観光路線の減便によりミクロネシア方面を中心に取扱いが減少し、全体の売上が前年を割った。一方で販売管理費の削減などで営業利益は前年並みを確保した。また、ジャルツアーズは「愛・地球博」の反動による減少などで取扱い人数が減り、旅行代金単価の上昇により売上高は前年並みとなった。旅行企画販売事業セグメントの減収減益の主な要因は、販売体制再編に伴い、4月1日にジャルセールスが日本航空インターナショナルに合併され、セグメントの対象から外れたことによるものだ。

 この業績結果を受け、通期の業績予想を当初の予想から下方修正する。業績予想は売上高で200億円減となる2兆2810億円、営業費用で160億円減の2兆2680億円、営業利益が40億円減の130億円を想定する。営業収益では国際旅客は戻りが早いことから70億円増加。国内旅客は見通しとして厳しいとの判断から250億円減。
 このことから、収支改善策としてJALグループでは退職給付費用の削減、費用構造改革の深堀をしつつ、商品競争力、販売力を徹底的に強化していく。