近ツー、ホリデイで団塊世代を強く意識、シートベルト付き商品を展開

  • 2006年1月26日
 近畿日本ツーリストは2006年上期商品(4月〜10月)を設定、信頼と安心・安全をキーワードとして、「シートベルト付き」の海外旅行商品を提供する。「シートベルト」とは具体的に、今後、市場の主役となる団塊世代を焦点とし、さらに熟年世代などを意識し、旅行者の体調不良をはじめとする健康面、テロ・災害時の連絡体制、対処、外部からの情報収集などリスクマネジメントに至るまでを範疇として、旅行を提供するもの。

 近ツーでは団塊世代を「プラチナマーケット」と命名し、旅行でも活動的、テーマ性を追求することとの想定で商品を企画した。既に熟年向けには「熟年海外特選旅行」シリーズで展開を図り、前年比7%から8%増となる9000人を集客。現時点でこうした明確なシリーズ展開は披露いないものの、期中にシリーズ展開を見据える。具体的には、メインの観光地にくわえ、個々に訪れたい地を自由に設定できる形で、ロマンチック街道の観光を柱とし、その後の日程では、パリ滞在、ローマ滞在など、「融通の利くツアー」(首都圏ホリデイ事業部事業部長・福岡隆之氏)となる見通し。
 また、プラチナマーケットについては、グアムでも新コンセプトの商品を継続して展開。レオパレスを利用する「カラダに効くグアム」は健康面を意識したスパなどの利用を盛り込んだ商品だが、トライアルも積極的に進める。
 こうした配慮は添乗員同行のツアーでも675本のうち、366本を2名、または6名の催行保証とするなど、催行率を上げることで、申込みを促す体制を整えたほか、一人旅についても割高感を押さえる設定とした。

 こうした市場動向を睨み、方面別ではヨーロッパへの期待値を高めている。集客の主力は春のオランダ・ベルギーの花をテーマとした商品のほか、7月から8月のスイス、12月のクリスマスが大きな動きとなる。これを軸に、今年はモーツアルト・イヤーと絡めた商品を展開するなど「旬」を重視した商品を構成している。


▽今年は全国で8%増が目標

 今年(1月〜12月)の全国の販売目標人員は前年比8%増の57万人。最も高い伸びを見込むのは台湾の36%増(1万5000人)、ついで中国の25%増(3万人)、ヨーロッパの22%増(6万人)。ヨーロッパは上記の通りであるが、このところ東欧にも市場の目が向いていることも反映し、クロアチア、ルーマニアなど、これまで「採算ベースに乗らなかった商品に取り組む」姿勢だ。燃油サーチャージの増額が日系航空会社から発表され、市場動向については熟年など夫婦が動く「4月から6月については大きな影響ではないのでは」との見方を示すが、その後に動くファミリー層については懸念を示している。こうした旅行代金の外出しの部分を含めた価格は7%から8%(燃油サーチャージ増額前)
 なお、2005年の販売実績(1月〜12月)は前年比5%増の52万6000人。セントレアの開港で名古屋発が2桁となったほか、成田、関西ともに前年を上回った。市場概況としては反日、津波の影響、バリのテロと逆風も合ったが、減少は中国が16%減の2万4000人となったのみで、その他は前年同、あるいは増加を示した。


▽ホリデイの年間販売目標、05年実績
<方面/05年実績(前年比)/06年目標(前年比)>
ハワイ/11万5000人(12%増)/11万6000人(1%増)
ミクロネシア/8万1000人(8%増)/8万2000人(1%増)
アメリカ/4万9000人(前年同)/5万2000人(6%増)
ヨーロッパ/4万9000人(6%増)/6万人(22%増)
アジア/13万4000人(4%増)/15万人(12%増)
中国/2万4000人(16%減)/3万人(25%増)
オセアニア/6万3000人(前年同)/6万5000人(3%増)
台湾/1万1000人(110%増)/1万5000人(36%増)
合計/52万6000人(5%増)/57万人(8%増)