ひろきのトラベル×シネマ No.002 「未来型ジャンボ旅客機が舞台。機上の密室劇『フライトプラン』に迫る!」

  • 2006年1月21日
□見ごたえのある史上最大級のリアルな航空機セット


 あくまでも、まったくのフィクション。と言われても、航空関係者をはじめとする旅行業界の方々が気になるのが、ジョディ・フォスター主演の最新作『フライトプラン』(1月28日公開)。昨秋に全米2週連続ナンバーワンの成績を残した、最新鋭旅客機が舞台のサスペンス仕掛けのアクション超大作。いよいよ日本で公開されます。


 「最新鋭のジャンボジェット旅客機の機内で、女性航空機設計士カイルの6歳の少女が忽然と姿を消した」ところから始まるストーリー。その大半は同一機内でのミステリアスな出来事を描き、機内の隅々までを全てリアルに映し出していきます。
 さて、本作最大の話題といえば、ハリウッド映画史上最大級の規模で制作されたという巨大旅客機のセット。未来を先取りしたスタイリュッシュな内装は、ラウンジやバーに60年代を彷彿とさせるレトロなデザインを施したといいます。「こんな航空機なら乗ってみたい!」と思わせるような、工夫が凝らされています。
 また、昨今の事情を反映して、私服の航空保安官「エアマーシャル」が登場します。9.11以降、テロ発生時などの危機に万全の態勢を敷くため、導入する国が増えている事実に基づいた設定です。

(写真1)1月11日の来日記者会見でジョディ・フォスターが映画について語った。

(写真2)巨大旅客機が背景に映し出されるシーンが随所に見られる(c)TOUCHSTONE PICTURES


□旅行業界ならではの楽しみ方が見つかるサスペンス・アクション

 今回の作品自体は、娘が消えた緊迫感のなか、謎解きのどんでん返しで大いに楽しませてくれる密室劇です。不安に動揺しながらも、行動力のある母親カイル役のジョディ・フォスターが迫真の演技。「乗客、乗員の安全こそ最重要事項」とするリッチ機長(ショーン・ビーン)や、フライトアテンダントを演じた俳優陣も指導訓練を受けており、場面によっては共感できる部分があるでしょう。
 航空機の機内が戦いの場となる映画は、過去にも多くありました。『エグゼクティブ・デシジョン』の旅客機、『エアフォース・ワン』の大統領専用機、『コン・エアー』の囚人移送機などが有名ですね。アメリカでは航空機が日常的な移動手段であることと、スリルのあるドラマ空間を構築しやすいために使われる設定です。
 『フライトプラン』は、現在の航空業界の内幕ものでも、告発ものでもなく、ましてやモデルとなった現行機があるわけでもありません。ですから、「これはありえない!」「この機内はどこそこのあれに似ている!」(業界の方ならピンとくるはず?)の指摘も、全くの自由です。
 「機内上映は絶対にない」本作品ですので、ぜひとも休日に劇場でご覧になってみてはいかがでしょうか?

(写真3)迫真の演技でストーリーも面白い(c)TOUCHSTONE PICTURES


□映画『フライトプラン』で想定された機能とデザイン

 映画オフィシャルページでは、機体の詳細を知ることができる項目が設けられていて、わかりやすく解説しています。レスポンスも早く閲覧しやすいので、ホームページデザインも参考になるかもしれません。ここでは、架空の旅客機の概要を紹介します。


※「アルト航空E-474機」(最新型ハイテク重層ジャンボジェット)

サイズ:奥行き240フィート、長さ300フィート
収容可能人数:580人(オールエコノミーで854人)
上層階:コックピット、ファーストクラス席、ファーストクラス・ラウンジ、
  厨房、エコノミークラス客室(2室)
下層階:ビジネスクラス客室、厨房(2つ)、らせん階段を含むメイン客室
路線:ベルリン発ニューヨーク行き

【主な特徴】
1) 格納庫:最下デッキは大量の貨物を搭載できる。2つのメインデッキがあ
  り、乗用車、棺などの特別な移送も可能。

2) コックピット:最先端のフライ・パイ・ワイヤ技術(電気式操縦)を導入。
  高性能オート・パイロット(自動操縦)装置によってパイロットのストレ
  スを軽減させる。ディスプレイ画面には最新分析データが表示される。

3) 航空電子工学:複雑な構造を持った航空機を制御するために、大規模なコ
  ントロール・システムを導入。最大速度30テトラフロップスのスーパーコ
  ンピューターがその中枢を担う。環境管理から、燃料管理、飛行管理や通
  信までを制御。

4) ファーストクラス:フル・リクライニングシート、機内シェフが作るフル
  コースの食事、最高級の酒類を取り揃えたバー・カウンターの無料サービ
  ス、最新の新聞や雑誌を100以上取り揃えたライブラリー、ワイヤレスの
  よるインターネットアクセスを無料にて提供。座席で楽しめる1000以上の
  映画、テレビ番組、ビデオゲーム

5) メイン・キャビン:2階建ての中に、幅広い通路やゆったりした座席を配
  置。エコノミーを含む全ての乗客の座席に、共有ではなく独立した肘掛を
  設置している。


<作品紹介>
■物語
 最新鋭のジャンボ旅客機の機内で、女性航空機設計士カイルの6歳の娘が忽然と姿を消した。最愛の娘を必死で捜索するカイル…。だが、乗務員にも乗客にも、娘を見たという者は一人もいない。それだけではない。彼女の痕跡は完全に消し去られ、荷物や航空券はおおろか、搭乗記録すら存在しないのだ。一体、なぜ?
 容疑者は、400人を越える乗務員と乗客のすべて。手がかりはゼロ。だが、カイルには娘への限りない愛とこの旅客機のシステムについて豊富な知識があった。見えざる邪悪な陰謀に立ち向かうため、カイルのたった一人の戦いは始まる。高度1万メートルの密室は今、史上最悪の戦場と化した!

『フライトプラン』
1月28日、丸の内ピカデリー1ほか全国公開(21日先行上映開催!)
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル
出演 ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、ピーター・サースガード、エリカ・クリステンセン
監督 ロベルト・シュヴェンケ
http://www.movies.co.jp/flight-p/
(c)TOUCHSTONE PICTURES