ルックJTB、06年度は3%増135万人を目標、市場の多様化に合わせ全方位で対応

伊藤氏は今年度の商品企画にあたり、(1)品質と内容の充実、(2)個のニーズへ対応、(3)サプライヤーはじめ事業パートナーとWin-Win関係の構築を重要なポイントとして列挙。商品コンセプトとしては同じ商品内容であれば安い価格の提供、同じ価格で質の高い商品を提供する価格合理性、ルックJTBならではの独創性、「マイセレクト」に代表するFIT対応で多様性の追求、新しいデスティネーションの開発を重視したことを強調。
さらに、JTBが発表した2006年の出国者数1800万人、日本旅行業協会(JATA)で目標とする1850万人については「基礎的な市場の力としては十分に超える力はある」として上向きな需要の動向を示唆。ただし、「中国、韓国などV字回復すると見るのは過度な期待」とし、05年販売見込みの130万6000人から3%増となる135万人を目標とするとした。
ただし、仕入れ原価では航空座席は全般的に上昇、ホテルについても上昇する傾向がある。また、先ごろ日本航空が燃油サーチャージの値上げを発表しており、旅行費用の総額として値上がりする基調は避けられない。伊藤氏は「ハワイでは往復で1万6000円と安い商品は売り物にならない」と嘆きもみせたが、「航空会社が悪いという話ではない」として、需要減にならないようお手ごろな価格感を出していく方向も示している。
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06年度のルックJTBの商品はパッケージツアーの進化として観光、ホテル、食事、斡旋体制、ショッピング、航空の6大要素の改革と素材の見直しを一段と進めた。今期に実現した代表的なものは、(1)消費者が持つ観光地のイメージを実現すること、(2)専門旅行社が独断場としている分野でパッケージツアーの良さを全面に打ち出したこと、さらに(3)ウエディングでは消費者への回答を早める体制へと変更したこと。
消費者のイメージを実現するため、添乗員、現地スタッフ、企画担当者が選び出した「ヨーロッパ100選」は、現地に案内する時間や場所にこだわりを持ち、旅程管理や仕入れが一体となった取組み。具体的には、フランスの世界遺産の一つ、モンサンミッシェルの夕暮れ時にライトアップされたシーンを見るためには、モンサンミッシェル周辺でホテル手配しなければならず、個人での手配に苦労することもあるものを実現した。
また地球交響曲(シンフォニー)はこれまで1冊でのパンフレット展開であったが、05年度が前年比200%と倍増。これを受け、「グレートアフリカ」、「シルクロード」、「中南米」の3分冊として展開。このシリーズでは例えば、シルクロードでは中国が主体となって商品展開されていたものを、中国/トルコ間のユーラシア大陸全域で商品を構成した。これにより、途中の区間、あるいは西安からイスタンブールまで全域を車で辿る30日のコースまで地域的にも、旅程としても幅を広げた。さらに、消費者に対してパンフレット内で不安を取り除くための情報を提供。例えば、トイレ事情や体力的な指標などを設け、初心者層も多かったという商品でさらなる顧客増を目指す。