現地レポート:中欧のクリスマス、ハンガリー・ブタペストの最新情報

  • 2005年12月17日
 中欧ハンガリーのクリスマスシーズンが盛り上がりを見せている。近年、特別なイベントも増え、地元だけでなく東欧、南欧などヨーロッパ各地からのこの季節の観光客が増えている。
 世界遺産に登録されている首都ブタペストは、屋外のライトアップから室内のエンターテイメントまで、街中がクリスマス色が満載だ。日本の面積の約4分の1、人口約1000万人暮らすハンガリーは、約70%がキリスト教信者。そのうち50%がカトリック教徒であり、こうした事情を反映してか、上品なイルミネーションによって街が彩られている。通常の土日は店を閉める商店も、クリスマス前の4回の週末を待つ「アドヴェント」の時期は開店。ウィンターシーズンの旅が、より味わい深さをみせる時期だ。

▽ブタペスト市内
 クリスマスのイルミネーションが美しいのが、エリザベート広場から北東にまっすぐ英雄広場に続くアンドラーシ通り。夕刻、日没が近い時間になると、道の両側の並木に取り付けられたライトが点灯する。国立オペラ劇場のライトアップやクリスマスの彩りが美しい商店のショーウィンドウに華やかな景観を生み出している。この季節の日没は17時前後。時間に余裕があれば、それを目的に車で移動すれば、季節感を生み出す演出が可能になるだろう。ただし、交通渋滞も発生するのでツアーの行程管理には注意をしたい。

▽街のあちらこちらに活気
 また、ショッピングストリートで有名な歩行者天国のヴァーツィ通りも同様にイルミネーションに彩られている。北端のヴェルシマルティ広場には、100店以上の出店で賑わうクリスマス市が催され、キャンドルやハニーケーキ、刺繍などの伝統的なハンガリーのクリスマス用品から、軽食やホットワインが観光客の目を楽しませる。週末は、ホットワインやスナックを購入するための行列もできるほどの混雑。イベントステージでは、週代わりのダンスや民族音楽などの地元の人々によってショーが繰り広げられ、大変な活気だ。週末の滞在でこちらを案内する場合、貴重品や身の回りの注意を事前に促すことが賢明。こうしたクリスマス市は、12月24日まで毎日10時から19時に開催されている。

▽オペラ・教会とエンターテイメントも充実
 エンターテイメントもクリスマス一色。国立オペラ劇場では連日「くるみ割り人形」が人気を見せ、教会ではクリスマス前のコンサートが行われている。なかでも、12月10日に行われたマーチャーシュ教会のアドヴェント・コンサートは、本格的なパイプオルガンやトランペット、ソプラノ歌手の奏者が集まり、本格的なコンサートに約500名の聴衆が訪れる程の人気振りをみせていた。なお、12月21日には聖イシュトヴァーン大聖堂で、パイプオルガンの演奏が楽しむことができる無料のコンサートが開催される。細かいチェックは欠かせない。

▽ブタペスト近郊
 ブタペスト市内から車、または電車で45分の距離にあるゲデレー宮殿は年間100万人の入場者を誇る人気の観光スポット。この季節は、クリスマスの特別プログラムでさらに人気を集める。ヘレンドの陶器に色付けをする様子を身近に見ることができ、乗馬体験、スケートリンクなど、イベントは土日が中心だ。また、庭では小さなクリスマス市が開催され、素朴な商品をブタペスト市内と比べるのも面白い。陶器やぬいぐるみ、クリスマスキャンドル、オーナメントなどが市内よりも若干安い価格で販売。なお、シシイとフランツ・ヨーゼフゆかりの宮殿内見学のガイドツアーは、大変な混雑で、この時期は早めの予約を入れたい。

 日本人には、ブタペストからの日帰りで有名なセンテンドレでも、同様に素朴なクリスマスの風景を見ることができる。なかでも、マジパン博物館では、キリスト誕生の馬小屋を模したクリスマス独特のマジパンが登場。マジパンはハンガリー人がクリスマスの時期に好んで食べるもの。来年のモーツアルト生誕250周年を記念したものを見ることができる。通常の時期でも歌手のマイケル・ジャクソン、あるいはエリザベートやフランツ・ヨーゼフといった歴代の王族を模したマジパンが興味をそそるが、この季節独特のものをみるのも楽しい体験だ。

▽クリスマス当日とクリスマス・イブ
 12月24、25日は、こうしたイベントが終わり、街は静寂を取り戻す。旅行者は、静かに過ごすしかなくなるが、ブタペスト市内の有名レストランでは特別メニューを提供。たとえば、町の中心となるデアーク広場に程近いル・メリディアンや、ドナウ川沿いのマリオット・ホテル、ウェルネス施設が充実するマルグリット島のコリンティア・ホテルなどでは、伝統的なクリスマスディナーとハンガリーワインをコースやビュッフェ形式で楽しむことができる。人気があるので予約が必要だが、過ごし方のひとつとして旅行者に案内したい。(トラベルビジョン:山岡薫)


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