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BC西久保社長、経営資源を高需要路線に集中し低価格追求、販路も拡大

  • 2005年10月11日
 スカイマークエアラインズ(BC)の代表取締役社長の西久保愼一氏は12日会見し、羽田発の鹿児島、関西、徳島の3路線を休止、来年春から羽田/福岡線、羽田/神戸線、羽田/新千歳線、羽田/那覇線の4路線に経営資源を集中投下する方針を明らかにした。3路線の撤退については「大手より安い料金も乗ってもらえない」とし、搭乗率の停滞を示唆。BCのこれまでの課題として、西久保氏は「中途半端な安さ、大手と比較した場合の運航率の低さなど、小さな積み重ねが(搭乗率の停滞に)結果」と語り、(1)旅客需要の高い路線に集約した多頻度運航、(2)普通運賃の大幅値下げでわかりやすい料金体系、(3)安価な運賃を提供するためのサービス水準の見直しとコスト削減を柱として展開するとして、「創業から掲げる低価格を追求する姿勢を鮮明にする」ことを表明した。
 こうした方向性を打ち出すにあたり、BC側が営業体制を整えたことが大きな要因として挙げられる。機体整備は全日空(NH)との契約切れによる自社整備に加え、台湾企業との純整備契約を結ぶなどして年10億円単位でのコスト削減を織り込む。創業から7年間、大きな事故も無く、借入金も無いことから保険会社との契約でも有利な契約を先ごろ交わしたほか、増資も完了。このほか、旅行会社向けの販売システム「サテライトワン」を各社に導入。これにより、ネット・携帯での予約でき、「販売インフラは大手にかわらない」という。サテライトワンについてはジェイティービー、日本旅行をはじめ、中小旅行会社などを含め、100社程度に導入済み。創業当時はエイチ・アイ・エスが販売したことで、市場に浸透したものの、今後の飛躍という側面でHIS以外へ販売網を拡大することが不可欠であり、こうしたことが重なり「リストラクチャーの下地が整った」と西久保氏は企業体として総合的な観点からの判断であることを改めて強調した。

 BCは現在、羽田/福岡線、羽田/関西線、羽田/鹿児島線、羽田/徳島線を運航。低迷がささやかれていた関空線の搭乗率は直近で「40%弱」で、「徳島線は40%強」。鹿児島線は「繁忙期は90%の日もあるが、年間では60%」で「収益ではトントンに及ばない」状況だという。こうした中で、新たに就航する新千歳線は70%を最低ラインと見ており、多頻度運航による運営コストの削減を実現する。
 サービスの削減は機内誌、おしぼりなどを廃止し、ドリンクを有料化、毛布は継続する。また、シグナスクラスは来年1月20日には廃止となり、モノクラスでのサービス提供となる。顧客対応でも変更を予定しており、これまで欠航、30分以上のディレイについてのバス代、ホテル代負担を廃止し、自社便の振替、あるいは代替機の使用などで対応する。
 最大の目玉となる運賃は、普通運賃を2万円以下で設定する意向。普通運賃は現在、「市場の5%程度のシェアで、『普通』と言えるだろうか」と疑問を呈し、「7割以上は買ってもらえる」として、既に設定する割引運賃も整理し、サービス削減など余剰資金分を運賃の低廉化に反映する。