JTB、連結営業利益・経常で過去最高益、06年に向けて今期は積極投資

  • 2005年5月25日
 ジェイティービーは25日、平成17年3月期連結決算を公表した。これによると売上高は13.3%増の1兆2353億3500万円、うち本業の旅行売上高は14.1%増の1兆993億円、海外旅行41.2%増の4733億円、国内旅行は1.4%減5996億円。営業利益は729.5%増の241億2100万円、経常利益395.0%増の304億2000万円と、JTBグループでの営業利益、経常利益は過去最高益となった。また昨年10月に発表したとおり、退職給付未認識債務の約255億円の一括償却、および神戸ベイシェラトンの売却を含む固定資産減損会計の早期適用で損失91億円を計上し、当期純損益は28億1600万円の赤字。
 取締役、総合企画部長・財務担当の志賀典人氏は前年度について「かなり安定的なマーケット環境であった。SARSなどの反動で海外、国際は回復。国内は微減だが、前年のシフトも考慮すると堅調」と振り返る。海外での回復は、SARSで直撃した中国が取扱額で179%増、取扱人員で137%増、香港は取扱額169%増、人員157%増となったほか、台湾、シンガポールも2倍超の回復であったほか、ハワイ・グアムが約20%増、ヨーロッパが16%増とJTBでは「02年度を超えている」という。また、本社の人員削減がここに来てコスト削減効果が発揮されている模様で、本社300名体制から現在の120名体制で約40億から50億円の抑制となっている。営業面での回復とコスト削減効果で営利、経常の最高益を計上した主要因。
 また、営業面で好成績を収め、財務的な課題の整備を進めたことで、「2006年からの成長路線に向けて積極的な投資をしながら、経営体制を整える」年度となる。特に、2006年4月から、事業持株会社へ移行する新たな体制に向けたステップの年という位置づけから、店舗見直しに50億円、海外自由旅などシステム関連に35億円、在外支店のシステムに50億円、および「このところ厳しい状況に理解を頂いた」という給与面の改善による人件費の増加、プロモーションの積極化を織り込む。このため、18年3月期連結予想は売上高1兆2640億円、営業利益135億円、経常利益120億円、当期純利益70億円と経費の増加を織り込む抑制的な見通しだ。

 また、中国でのデモの影響について志賀氏は「4月は大きな影響ではないが、ゴールデンウィークは7000名のキャンセルがあり、この需要がどのようなシフトをしたかは分からない。(シフトは)あると考えているが、中国側の体制も整備されてきたことから、安全性をどのように伝えるか、が課題」と言う。また、中国方面について「夏にどこまで戻るか」も今後の重要なポイントである考えを示した。