週末特集:トラベルライター宮田麻未レポート、大自然とキッチュの競演?
トラベルライターの宮田麻未さんが消費者の視点から考える「旅行」ですが、今回が最終回です。今日はどの様なレポートをしてくれるか、楽しみです。冗長な説明は抜きにして、じっくりとお読みいただければ幸いです。 トラベルビジョン編集部
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ああ面白かった!ナイアガラ再発見の旅 最終回
宮田麻未
様々なことについて皮肉なコメントを撒き散らしたチャールズ・ディケンズも、ナイアガラの滝については「私は地上から引き上げられ、天国をのぞき見たようだった。」と感想を述べているそうです。霧の乙女号で滝に正面から近づく、トンネルを通って滝の裏側から文字通りの「瀑布」を間近に見る、アメリカ滝のすぐ下まで階段を下りてビショ濡れになりながら見上げる、ホテルの最上階のレストランで食事を楽しみながら滝を見下ろす・・・などなど、ディケンズ以上の感動を味わう滝の楽しみ方の選択肢も豊富です。
▽カナダ三大「のけぞり観光地」の筆頭はここだ!
ナイアガラを訪れるたびに、毎回あらためて驚いてしまうのが、「大自然の驚異」の滝と、「キッチュの饗宴」クリフトン・ヒルの共存です。カナダ側もアメリカ側も美しい花壇が点在する公園になっていて、滝を眺めながらの散策を心地良いものにしてくれます。
ところが、アメリカ滝の正面からビクトリア・アベニューに続く坂道、クリフトン・ヒルの両側には、「いったいこれは何だぁ?!」と叫びたくなるようなキッチュなアトラクションがギッシリと並んでいるのです。蝋人形館はもちろん、ドラキュラ屋敷、血なまぐさい犯罪現場博物館など、「悪趣味もここまで来れば立派!」なものばかり。さらに最近はプロレスの殿堂、ハルクやスパイダーマンで有名なマーベル社の人気キャラクターのグッズショップ兼ゲームセンターまで登場。来年には2軒目の大形カジノもオープンしますから、キッチュ度に拍車がかかる傾向は当分拡大する一方でしょう。
いえいえ、私はこれらを批判しているわけではありません。正直言えば、私はこの手のアトラクションが大好き。「宇宙人博物館」や「リプレー・信じようと信じまいと博物館」に入らなかったのを後悔していますし、懐が淋しくなければカジノにも行ったでしょう。ただ、大自然のパワーに全身でひたりたいと期待してくるツアーのお客様に対して、ガイドや添乗員の方々は、この「キッチュ現象」をどう説明しているのかと不思議に思っているだけです。もちろん、ノリの良いお客様なら、「夕食後の散歩にフランケンシュタインと会って来たよ。」と笑ってくださるでしょうが・・・。
そうそう、ジョフリー・コーンフィールド(Geoffrey Cornfield)という人の書いた『The Niagara Peninsula』(DESPUB社)という本によると、ナイアガラ周辺に住んでいたファースト・ネーション(先住民)の人々は、滝を神聖な場所とは考えていなかったとのことです。雷(ナイアガラの語源)のようにうるさいし、魚釣りにも向いてない・・・。うーん、ナイアガラはもともとキッチュの要素があったのかもしれません。
▽それでも、滝は心を深くゆさぶる
クリフトン・ヒルのキッチュ・パワーが押し寄せたとしても、滝を目の前にすれば人はディケンズと同じように、一瞬、魂が別世界へ引き上げられるような気がすることでしょう。特に私はナイアガラ川が滝となって落ちる直前の辺りを見るのが好きです。そのすぐ下が巨大な滝になっているのだと思うと胸がドキドキしてしまいます。吸い込まれそうな気分になるスリルも不思議な心地良さです。
滝の周辺には、もちろん柵があるのですが、これはヒョイとまたげそうなくらい低いものです。私は滝を見るたびに、「柵の向こう側へ行きたくなってしまう人も多いのでは?」と疑っていました。もちろん樽に入って滝から落ちるという芸(?)にチャレンジした人は多いのですが、ほとんどは失敗。今ではチャレンジすること自体が法律違反です。ところが、最近、1人の中年のおじさんが、ライフジャケットも着けずにヒョコヒョコと柵を乗り越え、そのまま落下。大怪我もせずに岸にたどりついたのです。もちろん、警察から大目玉をくらっただけではなく、かなりの罰金が課せられるはずですが・・・。
ナイアガラの滝は、さまざまな場所から角度や手段を変えて眺めれば眺めるほど味わいが増してきます。なかでも、落日直前のテーブル・ロック付近はとっておきの場所。特に紅葉のころなら、滝の水煙に秋ならではの柔らかな光が当たり、いつも以上に美しい虹が生まれます。時には虹が二重になって大きく天空に浮かぶこともあるのですよ。「この一枚!」という記念撮影にぴったりですね。
▽「旅の通」におすすめしたい厳冬のナイアガラ
リピーターのお客様には、ぜひ真冬のナイアガラをおすすめしてください。冬になればクリフトン・ヒルのキッチュ・パワーも大分トーンダウンしますし、人の少なさが大自然の壮麗さを際立たせてくれるからです。
厳冬期には、滝の周辺には氷柱が何本も立ち、まるで白い宮殿のようになります。水しぶきは空中で凍りつき、太陽の光をうけてクリスタルの破片のようにキラキラと舞い上がります。時折、川を流れてきた大きな流氷が落下して砕け散るようすも印象的。おいしいアイスワインを少しずつ味わいながら、展望レストランから「白いナイアガラ」を眺める贅沢も味わえます。主要ワイナリーは冬も営業していますから、ワインの試飲などもゆったりとできますし、その昨秋の収穫の話や来年の蔵出しの話題など、ワイン好きには嬉しい「内輪の情報」を早く手に入れられるチャンスでもあります。ただし、寒さはかなり厳しいですから、しっかりした防寒具(特に靴)を用意するのがポイントです。
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ナイアガラは、滝の魅力を満喫するためにも、滝以外のアトラクションを楽しむためにも、最低二泊はしたいエリア。ナイアガラのアトラクションに関する情報は下記のホームページでチェックするのが便利です。
★Info Niagara http://www.infoniagara.com
★Tourism Niagara http://www.tourismniagara.com/
☆☆☆宮田麻未さんから一言☆☆☆
カナダに関する旅の情報を中心にしたホームページを立ち上げました。旅行の企画にもお役に立つ話題を心掛けています。メールマガジンの発行も準備中ですので、ときどきサイトを訪れていただければ幸いです。
★カナディアンライフ http://www.canadian-life.com
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ああ面白かった!ナイアガラ再発見の旅 最終回
宮田麻未
様々なことについて皮肉なコメントを撒き散らしたチャールズ・ディケンズも、ナイアガラの滝については「私は地上から引き上げられ、天国をのぞき見たようだった。」と感想を述べているそうです。霧の乙女号で滝に正面から近づく、トンネルを通って滝の裏側から文字通りの「瀑布」を間近に見る、アメリカ滝のすぐ下まで階段を下りてビショ濡れになりながら見上げる、ホテルの最上階のレストランで食事を楽しみながら滝を見下ろす・・・などなど、ディケンズ以上の感動を味わう滝の楽しみ方の選択肢も豊富です。
▽カナダ三大「のけぞり観光地」の筆頭はここだ!
ナイアガラを訪れるたびに、毎回あらためて驚いてしまうのが、「大自然の驚異」の滝と、「キッチュの饗宴」クリフトン・ヒルの共存です。カナダ側もアメリカ側も美しい花壇が点在する公園になっていて、滝を眺めながらの散策を心地良いものにしてくれます。
ところが、アメリカ滝の正面からビクトリア・アベニューに続く坂道、クリフトン・ヒルの両側には、「いったいこれは何だぁ?!」と叫びたくなるようなキッチュなアトラクションがギッシリと並んでいるのです。蝋人形館はもちろん、ドラキュラ屋敷、血なまぐさい犯罪現場博物館など、「悪趣味もここまで来れば立派!」なものばかり。さらに最近はプロレスの殿堂、ハルクやスパイダーマンで有名なマーベル社の人気キャラクターのグッズショップ兼ゲームセンターまで登場。来年には2軒目の大形カジノもオープンしますから、キッチュ度に拍車がかかる傾向は当分拡大する一方でしょう。
いえいえ、私はこれらを批判しているわけではありません。正直言えば、私はこの手のアトラクションが大好き。「宇宙人博物館」や「リプレー・信じようと信じまいと博物館」に入らなかったのを後悔していますし、懐が淋しくなければカジノにも行ったでしょう。ただ、大自然のパワーに全身でひたりたいと期待してくるツアーのお客様に対して、ガイドや添乗員の方々は、この「キッチュ現象」をどう説明しているのかと不思議に思っているだけです。もちろん、ノリの良いお客様なら、「夕食後の散歩にフランケンシュタインと会って来たよ。」と笑ってくださるでしょうが・・・。
そうそう、ジョフリー・コーンフィールド(Geoffrey Cornfield)という人の書いた『The Niagara Peninsula』(DESPUB社)という本によると、ナイアガラ周辺に住んでいたファースト・ネーション(先住民)の人々は、滝を神聖な場所とは考えていなかったとのことです。雷(ナイアガラの語源)のようにうるさいし、魚釣りにも向いてない・・・。うーん、ナイアガラはもともとキッチュの要素があったのかもしれません。
▽それでも、滝は心を深くゆさぶる
クリフトン・ヒルのキッチュ・パワーが押し寄せたとしても、滝を目の前にすれば人はディケンズと同じように、一瞬、魂が別世界へ引き上げられるような気がすることでしょう。特に私はナイアガラ川が滝となって落ちる直前の辺りを見るのが好きです。そのすぐ下が巨大な滝になっているのだと思うと胸がドキドキしてしまいます。吸い込まれそうな気分になるスリルも不思議な心地良さです。
滝の周辺には、もちろん柵があるのですが、これはヒョイとまたげそうなくらい低いものです。私は滝を見るたびに、「柵の向こう側へ行きたくなってしまう人も多いのでは?」と疑っていました。もちろん樽に入って滝から落ちるという芸(?)にチャレンジした人は多いのですが、ほとんどは失敗。今ではチャレンジすること自体が法律違反です。ところが、最近、1人の中年のおじさんが、ライフジャケットも着けずにヒョコヒョコと柵を乗り越え、そのまま落下。大怪我もせずに岸にたどりついたのです。もちろん、警察から大目玉をくらっただけではなく、かなりの罰金が課せられるはずですが・・・。
ナイアガラの滝は、さまざまな場所から角度や手段を変えて眺めれば眺めるほど味わいが増してきます。なかでも、落日直前のテーブル・ロック付近はとっておきの場所。特に紅葉のころなら、滝の水煙に秋ならではの柔らかな光が当たり、いつも以上に美しい虹が生まれます。時には虹が二重になって大きく天空に浮かぶこともあるのですよ。「この一枚!」という記念撮影にぴったりですね。
▽「旅の通」におすすめしたい厳冬のナイアガラ
リピーターのお客様には、ぜひ真冬のナイアガラをおすすめしてください。冬になればクリフトン・ヒルのキッチュ・パワーも大分トーンダウンしますし、人の少なさが大自然の壮麗さを際立たせてくれるからです。
厳冬期には、滝の周辺には氷柱が何本も立ち、まるで白い宮殿のようになります。水しぶきは空中で凍りつき、太陽の光をうけてクリスタルの破片のようにキラキラと舞い上がります。時折、川を流れてきた大きな流氷が落下して砕け散るようすも印象的。おいしいアイスワインを少しずつ味わいながら、展望レストランから「白いナイアガラ」を眺める贅沢も味わえます。主要ワイナリーは冬も営業していますから、ワインの試飲などもゆったりとできますし、その昨秋の収穫の話や来年の蔵出しの話題など、ワイン好きには嬉しい「内輪の情報」を早く手に入れられるチャンスでもあります。ただし、寒さはかなり厳しいですから、しっかりした防寒具(特に靴)を用意するのがポイントです。
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ナイアガラは、滝の魅力を満喫するためにも、滝以外のアトラクションを楽しむためにも、最低二泊はしたいエリア。ナイアガラのアトラクションに関する情報は下記のホームページでチェックするのが便利です。
★Info Niagara http://www.infoniagara.com
★Tourism Niagara http://www.tourismniagara.com/
☆☆☆宮田麻未さんから一言☆☆☆
カナダに関する旅の情報を中心にしたホームページを立ち上げました。旅行の企画にもお役に立つ話題を心掛けています。メールマガジンの発行も準備中ですので、ときどきサイトを訪れていただければ幸いです。
★カナディアンライフ http://www.canadian-life.com