アフリカ観光は次の成長段階へ、インダバ2026で見えた南アフリカの成長戦略と日本市場の可能性

ETAとデジタル化を推進、観光成長へ環境整備

 実際に会期中に開催されたETAセッションでは、南アフリカ政府が同制度を観光成長の重要施策として位置付けていることが繰り返し説明された。政府によると、ETAは既に94%の承認率を実現しており、一部空港では専用レーンを通じて60秒以内で入国手続きが完了するという。今後は対象国拡大に加え、家族や団体申請への対応も進める方針だ。

 デジタル化も今年のインダバを象徴するテーマだった。アフリカ各国の観光大臣によるパネルディスカッションでは、AIやデータ活用、SNSマーケティング、インフルエンサー施策などが議論された。若年層への訴求手段としてTikTokなどのプラットフォーム活用が紹介され、観光マーケティングの主戦場がデジタル空間へ移行しているとの認識が共有された。

インダバは、アフリカ各地域からの出展も豊富だ

 南アフリカ観光局は現在展開する「Come Find Your Joy」キャンペーンを通じて、サファリだけではない南アフリカの魅力を発信している。文化や食、音楽、スポーツ、コミュニティなど多様な観光資源を前面に打ち出し、「アフリカ自身がアフリカの物語を語る」ことの重要性も強調された。

インダバ刷新や大型投資も、観光産業の成長を後押し

 観光大臣のパトリシア・デ・リール氏は開会式で、「Africa's Travel Indaba will go through a revamp(インダバは刷新される)」と発言し、2027年に向けてイベント自体の見直しを進める考えを表明した。スポンサーや観光事業者、クリエイターから広くアイデアを募り、デジタル化や体験型コンテンツの拡充などを検討する方針で、アフリカ最大級の観光商談会が次世代型イベントへ転換する可能性も示唆した。

パトリシア・デ・リール観光大臣

 また、観光投資案件も数多く紹介された。ケープタウンのV&Aウォーターフロント拡張計画や2028年の開港を目指すウィンランズ空港開発、2026年7月開業予定のClub Med South Africa Beach and Safari Resortなどを例に挙げ、南アフリカが観光投資市場としても成長していることをアピールした。

 MICE分野への期待も大きい。南アフリカは2025/26年度に100件の国際会議・イベント誘致入札に参加し、52件を獲得したという。今後もSADC首脳会議や国際スポーツイベントなどの開催を予定しており、観光地としてだけでなく国際イベント開催地としての地位向上を目指している。

 こうした成長戦略の背景には、実際の訪問者数の回復と拡大がある。南アフリカ観光局によると、2025年の訪問者数は前年比17.7%増の1049万8506人となり、コロナ前の2019年を上回った。一方で日本市場は1万9894人と前年比14.5%増となったものの、2019年比では約30%減の水準にとどまっている。2026年1〜4月累計でも日本人訪問者数は前年比15.2%増の7399人と回復基調にあるものの、2019年比では18.5%減となっており、アジア市場全体も回復途上にある。